アクセオン・ハーゲンズ・ベルマンから真のスター選手は誕生するのか?

アメリカのコンチネンタルチームであるアクセオン・ハーゲンズ・ベルマンは、将来有望な若手ライダーを育成し、世界へ送り出すことをミッションとしているサイクリングチームです。

かつては、テイラー・フィニー、ベンジャミン・キング、ジョー・ドンブロウスキーが所属して、これまでに23名の選手をワールドツアーチームに輩出してはいますが、まだスーパースターと言える圧倒的な選手は誕生していません。

2016年シーズンは34つのレースで勝利し、7つの国内タイトルを獲得しました。2009年のチーム創設以来、最も勝利を重ねた年となったのです。

フィニー、ベン・キング、ドンブロウスキーたち以上のスターが、どんどん輩出されていく予兆を感じさせる、チームの好調ぶりです。

そんな、アクセオン・ハーゲンズ・ベルマンというチームについて調べてみました。

アクセオン・ハーゲンズ・ベルマンの成り立ち

ss-4

2009年にランス・アームストロングが当時の所属チームであるレディオシャックの下部組織のような位置づけで、トレック・リブストロングというチームを立ち上げました。

その際、トレック・リブストロングのスポーツディレクター、いわゆる監督に就任したのがアクセル・メルクスです。メルクスの名の通り、かの有名なエディ・メルクスの息子さんです。

その後、トレック・リブストロングU-23→ボントレガー・リブストロング→ボントレガー→ビッセル・ディベロップメントチーム→アクセオン・サイクリングチーム→アクセオン・ハーゲンズ・ベルマンとチーム名や主要スポンサーは変化してきましたが、アクセル・メルクスは変わらずチームにいて、現在はGMとなっています。

メルクスの下では、アメリカ人のジェフ・ルーダーとオランダ人のコース・モレンハウトがスポーツディレクターを務めます。

ルーダーは、アクセオン・ハーゲンズ・ベルマン在籍3年目となります。現役時代からアメリカのチームで走ることが多かった選手だっただけに、北米のレースに関する知識が豊富な、メルクスにとって頼れる右腕です。

モレンハウトは、2017年シーズンから新たにアクセオン・ハーゲンズ・ベルマンにやってきた新任のスポーツディレクターです。2013年から2016年までラボバンク・ディベロップメントチームでスポーツディレクターを務め、ヨーロッパでの指導者としての実績が高く評価されての移籍です。

また、メルクスとは、2001年から2006年にかけて、ダビタモン・ロットやフォナックチームでチームメイトだったこともあり、気心の知れた仲と言えましょう。

アメリカのレースに詳しいルーダーと、ヨーロッパのレースに詳しいモレンハウトの二人が仕事をすることで、アクセオン・ハーゲンズ・ベルマンは、ヨーロッパのレースにも積極的に参加していくだろうと思われます。

チーム設立当初からコンセプトも変わらず、『次世代のプロサイクリストを育成する』ためにチームは活動しています。メンバーは全員23歳以下で構成されています。23歳を越えた選手、もしくは22歳でも21歳でも世界で通用すると判断された選手は、各国のサイクリングチームへと旅立って行きます。

だからこそ、ヨーロッパでの経験が増えることは、選手のキャリアのことを考えると、とても良いことだと言えましょう。

これまでにワールドチームへ移籍を果たした選手たち

2017年までに23名のレーサーがワールドツアーと契約を結んだことがあります。

名前を聞いたことある選手が多いですが、バリバリ勝利を量産するような選手ではありません。アシストとして渋く活躍し続けている選手が多いような印象を受けました。

ただ、いずれも若い選手ばかりで、これからの成長と伸びに期待が持てる選手ばかりです。

サム・ビューリー(ニュージーランド)

トレック・リブストロング(2009)
→レディオシャック(2010〜2011)
→オリカ・グリーンエッジ(2012〜)

ベンジャミン・キング(アメリカ)

トレック・リブストロング(2009・2010)
→レディオシャック(2011〜2013)
→ガーミン・シャープ(2014〜2016)
→ディメンションデータ(2017〜)

テイラー・フィニー(アメリカ)

トレック・リブストロング(2009・2010)
→レディオシャック(2010)
→BMCレーシング(2011〜2016)
→キャノンデール・ドラパック(2017〜)

ビヨーン・セランダー(アメリカ)

トレック・リブストロング(2009)
→レディオシャック(2010・2011)
→以降プロコンまたはコンチネンタル

ジェシー・サージェント(ニュージーランド)

トレック・リブストロング(2009・2010)
→レディオシャック(2010〜2015)
→AG2R(2016)→引退

ネイサン・ブラウン(アメリカ)

トレック・リブストロングU-23(2010〜2013)
→ガーミン・シャープ(2014〜)

アレックス・ダウセット(イギリス)

トレック・リブストロングU-23(2010)
→スカイ・プロサイクリング(2011・2012)
→モビスター(2013〜)

ギャビン・マニオン(アメリカ)

トレック・リブストロングU-23(2010〜2013)
→5アワー・エナジー(CT、2014)
→ガーミン・シャープ(2014)
→以降CTまたはPCT

ティモシー・ロー(オーストラリア)

トレック・リブストロングU-23(2010)
→BMCレーシング(2011・2012)
→以降CTまたはPCT

ジョージ・ベネット(ニュージーランド)

トレック・リブストロングU-23(2011)
→レディオシャック(2011〜2013)
→キャノンデール(2014)
→ロットNLユンボ(2015〜)

イアン・ボズウェル(イギリス)

トレック・リブストロングU-23(2011・2012)
→・・・→スカイ・プロサイクリング(2013〜)

ローソン・クラドック(アメリカ)

トレック・リブストロングU-23
→ジャイアント・シマノ(2014・2015)→キャノンデール(2016〜)

ジョー・ドンブロウスキー(アメリカ)

トレック・リブストロングU-23(2011・2012)
→スカイ・プロサイクリング(2013・2014)
→キャノンデール・ガーミン(2015〜)

ライアン・イーストマン(アメリカ)

トレック・リブストロングU-23(2011〜2014)
→トレックファクトリーレーシング(2014)

カーター・ジョーンズ(アメリカ)

トレック・リブストロングU-23(2011)
→・・・
→ジャイアント・アルペシン(2015・2016)

ジャスパー・デブイスト(ベルギー)

ボントレガー・リブストロング(2012)
→・・・
→ロット・ソウダル(2015〜)

ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)

ボントレガー・リブストロング(2012・2013)
→トレックファクトリーレーシング(2014〜)

グレゴリー・ダニエル(アメリカ)

ボントレガー(2013〜2016)
→トレック・セガフレード(2017〜)

クレメント・シェブリエ(フランス)

ビッセル・ディベロップメントチーム(2014)
→トレックファクトリーレーシング(2014)
→IAMサイクリング(2015・2016)→AG2R(2017〜)

タオ・ゲオゲガンハート(イギリス)

ビッセル・ディベロップメントチーム(2014・2015)
→チームスカイ(2015)
→アクセオン・ハーゲンズ・ベルマン(2016)
→チームスカイ(2017〜)

ルーベン・ゼプンツェ(ドイツ)

ビッセル・ディベロップメントチーム(2014)
→キャノンデール・ガーミン(2015・2016)

ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル)

アクセオン・プロサイクリング(2015・2016)
→トレック・セガフレード(2017〜)

アドリアン・コスタ(アメリカ)

アクセオン・ハーゲンズ・ベルマン(2016)
→エティックス・クイックステップ(2016)
→アクセオン・ハーゲンズ・ベルマン(2017〜)

2016年シーズンに勝利したレーサーたち

2016年に勝利したレーサーも調べてみました。2クラスの勝利まで調べると大変すぎるので、1クラス以上または国内選手権のレースなど重要なレースにしぼりました。

アドリアン・コスタ

ツール・ド・ラブニール第4ステージ(個人TT)優勝、ツアー・オブ・ユタ新人賞

グレゴリー・ダニエル

アメリカ国内U-23ロード選手権優勝

※グレゴリー・ダニエルはFacebookの記事が泣けるので、ぜひ読んでみてください。

片目をつぶって時速96kmのダウンヒルをしようと思ったことはある?

ジョイス・コリン(アメリカ)

ツアー・オブ・アルベルタ(2.1)第1ステージ優勝&ポイント賞&新人賞

ルーベン・ゲレイロ

ポルトガル国内U-23ロード選手権優勝

クリス・ネイランズ(ラトビア)

ラトビア国内U-23個人TT優勝

ローガン・オーウェン(アメリカ)

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュU-23優勝

ニールソン・パウレス(アメリカ)

ツアー・オブ・カリフォルニア新人賞、ツール・ド・ラブニール第8ステージ優勝

エドワード・ダンバー(アイルランド)

アイルランド国内U-23個人TT優勝

アクセオン・ハーゲンズ・ベルマンの今後に注目

2017年シーズンも、8名の新たな新人を獲得して、16名でシーズンに臨みます。

エドワード・アンダーソン(アメリカ)は、MTB経験者です。

クリストファー・ブレビンス(アメリカ)は、チェコでの5日間の国内カップレースで総合優勝しました。

イアン・ギャリソン(アメリカ)は、ロード世界選手権ジュニアTTで3位で、カナダで行われたツール・ド・アビティビ・ネイションズカップの第4ステージで優勝しています。

クリストファー・ローレス(イギリス)は、2013年にイギリス国内ジュニアロードレースのチャンピオンとなり、2014年のイギリス選手権で優勝したチームの一員でした。

ジョンナタン・ナルバエズ(エクアドル)は、エクアドル国内U-23個人TTチャンピオンで、パンアメリカン・ジュニアロードレースで銀メダル、ツール・ド・サヴォワ(2.2)で山岳賞を獲得しました。

ルイ・オリベイラ(ポルトガル)とアイボ・オリベイラ(ポルトガル)の二人は双子の兄弟です。アイボはUCIジュニアトラック世界選手権で銅メダル、国内U-23個人TT3位でした。

マイケル・ライス(オーストラリア)は、ツール・ド・ビュース(2.2)の第3bステージで優勝しました。

すでに世界各国で実績を出している選手をスカウトして、チームに呼んでいるのです。

アメリカのコンチネンタルチームということで、世界に最も露出することが出来る機会は、5月のツアー・オブ・カリフォルニアでしょう。2017年からワールドツアーになることで、もしかしたらコンチネンタルチームは出場出来なくなってしまう可能性もあります。その時は、8月のツアー・オブ・ユタで選手の勇姿を鑑賞しましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)