ピエール・ロラン、今こそ逆襲の時。『山岳王に俺はなる!』とは?

ジロ・デ・イタリア第2ステージは、アンドレ・グライペルがステージ優勝をあげた。
同時に初のマリア・ローザを獲得し、ポイント賞ジャージも獲得した。

また、この日の勝利で2008年のブエルタ・ア・エスパーニャ以来、出場したグランツールでは全てステージ優勝をあげていることになった。
今年のジロで12大会連続勝利となる。

カレブ・ユアンにアクシデントが無ければどうだったかは分からない。
しかし、残り10kmを切った時点では、チームメイトとバラバラの状態だったところから、トレインを組んで絶好の位置でスプリントを開始したグライペルとロット・ソウダルの力は絶賛されるべきだろう。

ポイント賞争いも激化していく一方であるが、第2ステージで最も気になったことは山岳賞争いの行方だ。

現状はテクレハイマノが1位だが

2級山岳では、ディメンションデータのダニエル・テクレハイマノが強烈なスプリントを見せて、先頭通過を果たした。
これで20ptsとなり、マリア・アッズーラを確定させている。

この山岳ポイントでは、2位はテクレハイマノのチームメイトであるオマール・フライレ。
3位には、キャノンデール・ドラパックのピエール・ロランが入っている。

ブエルタで2年連続山岳賞を獲得しているフライレと、2011年ツール・ド・フランス新人賞のロラン。
今大会におけるマリア・アッズーラの有力候補である二人が早速動いてきた。

ディメンションデータにとっては、テクレハイマノとフライレのどちらが山岳賞を獲っても構わない。
だが、テクレハイマノはクライマーという印象が強いが、エリトリア国内TTチャンピオンに3回、アフリカTTチャンピオンに1回輝いているように、本来は独走力の高い選手である。
ゆえに逃げに強く、山岳ステージでも果敢に逃げていくためクライマーの印象が根付いたのかもしれない。

フライレもブエルタで2度の山岳賞を獲ってはいるが、テクレハイマノと同じく逃げのスペシャリストだ。
そして、スプリント力も高く、少人数で逃げている中で山岳ポイントを獲るためのバンチスプリントを非常に得意としている。

対して、ロランはクライマーだ。
タイムトライアルは遅くて、スプリントも弱いし、ダウンヒルも苦手。
得意なことはヒルクライムと、逃げに乗ることだけだ。

2011年ツールで新人賞を獲ってしまったがために、フランス中から期待され続けていただ、2012年以降は期待に応える走りは出来ていない。

安住の地と思われたフランスのプロコンチネンタルチームであるユーロップカーを飛び出し、アメリカのキャノンデールに移籍したのが昨年のこと。
フランス時代には考えられなかった近代的な科学トレーニングに感動したそうだが、今のところ全く結果が伴っていない。

環境変えてもダメ、練習方法変えてもダメ。
ロランはもう終わった。
人々が彼を諦めはじめた。

しかし、ロランは諦めの悪い男だった。
結果が伴わなくとも、ツールとブエルタではアタックを仕掛け続けた。
ゴールスプリントに絡むまでもなく、失速してしまうのだが、とにかく攻撃を続けた。

そこには、かつての新人賞の姿は無かった。
総合争いを捨てて、一人のプロサイクリストとして己の存在価値を示さんと、男の意地を見せる走りであった。

そうして、今年のジロにはステージ優勝と山岳賞を狙うために出場している。
チームメイトにダヴィデ・フォルモロという若きイタリア人エースがいるにも関わらず、キャノンデールはロランにエースナンバーを与えている。
今年のロランは一味違うぞ、と。

フライレも、ロランも、第2ステージを終えて、順調に総合タイムを失っている。
調子が悪いのではなく、逃げやすくするための工夫だろう。

第4ステージ、シチリア島に戦いの舞台を移し、エトナ山へとフィニッシュするステージでは、中盤に2級山岳が登場する。
登坂距離32.8kmと長い登りで、マリア・アッズーラを巡る激しい戦いが勃発するに違いない。

ロランか。
フライレか。
テクレハイマノか。
もしくは、他のアタッカーだろうか。

ロランにとっては、己の力を示す絶好の機会となるだろう。
俺はまだ終わっちゃいないぞ、と。

ピエール・ロランの逆襲が、いま始まる。

Rendez-Vous sur le vélo…

4 COMMENTS

いちごう

ピエール・ロラン、確かに2011年の新人賞以外目立った成績を残してませんよね。
山岳ではそこそこ粘りますが、競合いに弱いのとプレッシャーにも弱いのとでなかなか結果が出せない選手という感じです。

かつて、イヴァン・ゴッティという選手が居ました。
1997年と1999年にジロで総合優勝しております。が99年のほうはステージを一つも獲れないうえ、パンターニのドーピング絡みの失格の繰り上げ優勝でした。

ゴッティはクライマーでしたが、登りでアタックする訳ではなく淡々とハイペースを刻み、他の選手の脱落を待つというスタイルでした。
故に最後までついて来られるとスプリント負け、又はゴール前アタックでやられてしまいステージ優勝からは縁遠かったのです(それでも97年はステージ優勝していますが。)

それでも総合優勝をしているのですから、強かったと言って良いと思います。

スプリントも下りアタックもできないロランがやれるとしたらこのパターンではないかと。
山頂ゴール設定の山岳ステージで逃げに乗って、最後の登りで逃げメンバーを振い落としていくしかないのだろうと思います。

もし仰る通り、今年は「ひと味違うロラン」が見られるなら、それは楽しみですね。まずは第4ステージですね。

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サイバナ管理人

いちごうさん

> プレッシャーにも弱い

不振の一番の理由はこの性格面のように思えますねえ…。
だからこそ、一つ勝利をあげて負のスパイラルから脱却してほしいのです。

> ゴッティはクライマーでしたが、登りでアタックする訳ではなく淡々とハイペースを刻み、他の選手の脱落を待つというスタイルでした。

ロランにも、こういう走りをして欲しいですね。
アタックして逃げに乗る力はあるので、そのメンバーの中で一番登れる選手であれば逃げ切り勝ちを狙えるわけですからね。

エトナは最初のチャンスです。
ロランの勇姿に期待しつつも、ニーバリの勝利も願いたいところです笑

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匿名

20代前半で活躍した長身クライマーは、その後の筋肉量増加により、パワーウエイトレシオが悪化し、期待通りの活躍(成長)ができない傾向があるように思いますが、ローランもその一例でしょうか?
他には、クロイツィゲルや、ヴァンガーデレンが当てはまるかと思います。
一方、順調に成長するタイプとしては、20代前半でタイムトライアル能力が高かった選手が、20代後半になって登坂力も向上させる例があります。代表例は、リッチーポートやゲラントトーマスでしょうか。
今回のジロで、長身でタイムトライアルに強いトムデュムランがどっちのパターンかがわかると思います。

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サイバナ管理人

う~む…、難しいお話です。

ロランだけでなく、ご指摘のクロイツィゲルやヴァンガーデレンの3名については、肉体的・技術的な問題だけではなく性格面の問題のようにも感じます。
ロランはプレッシャーに弱く、クロイツィゲルもアシスト向きの性格で、ヴァンガーデレンもガラスのハートの持ち主に見えます。

もちろん、他にも心当たりある選手もいるかと思いますが、エース向きの性格とそうでない違いは大きいのではないかあと。

とはいえ、ドゥムランにジロで総合優勝を狙えるような登坂力が身につけられるのかどうかは、非常に注目しています。
ドゥムランの結果次第では、TTスペシャリストのグランツールレーサー化が加速しそうですし。

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