クリス・フルームが個人TT試走中に大クラッシュ。全身骨折によりツール・ド・フランス欠場へ

非常にショッキングな出来事が起きてしまいました。クリテリウム・デュ・ドーフィネに参戦中のクリス・フルームは、第4ステージ個人タイムトライアルの試走中、高速ダウンヒルで落車してしまい、壁に激突。右大腿骨、肋骨、右肘を骨折する重傷を負ってしまいました。このため、5勝クラブ入りの懸かっているツール・ド・フランスを欠場することがチームより発表されました。

Froome ruled out of Tour de France

チームのプレスリリースによるとチームドクターのリチャード・アッシャー氏は「クリスはロアンヌ(第4ステージ開催地)の病院に連れて行かれ、最初の検査で複数の損傷、特に右大腿骨と右肘と肋骨の骨折が確認されました。いまはさらなる治療のため、サンテティエンヌ大学病院に搬送されています。チームを代表して、クリスの治療にあたった救急隊員とロアンヌ病院のすべての人々を称賛したいです。」と語っています。初期の治療や検査が滞りなく行われたようで、何よりです。

現在34歳という年齢を考えると、あまりにも大きな怪我に思えます。しかし、それでも完治して、再びツールの頂点を目指す彼の姿を期待しないわけにはいきません。今はじっくりと治療と回復に専念し、早く元気な姿を見られることを祈るばかりです。

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フルームがツールを欠場することで、イネオスのツール出場メンバーがどうなるのか考えてみたいと思います。

総合エースはツール・ド・スイスに出場するゲラント・トーマスが担うでしょう。元々フルームとのダブルエース体制だったので、トーマスの調整に大きな影響はないと思います。

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しかし、昨年のツールでトーマスが総合優勝できたのは、トーマス自身の強さに加えて、フルームが強力な抑止力としてライバルたちの脚を止めることができたことも大きいです。偉大なるチャンピオンの不在は、ツール2連覇を狙うトーマスにとって、厳しい状況であると言わざるを得ません。

イネオスにはもうひとり忘れてはならない総合を狙える人材がいます。それは、エガン・ベルナルです。4月下旬のトレーニング中での落車して鎖骨を骨折、エースとして出場予定だったジロ・デ・イタリアの欠場を余儀なくされました。ベルナルもよく転び、そして良く骨を折る選手なのですが、不思議なことに骨を折れば折るほどに強くなっている印象さえ受けるとてつもない才能の持ち主です。今シーズンはパリ〜ニースで総合優勝を飾り、骨折するまでは総合優勝の筆頭に名を上げられるほどの前評判でした。

ということで、ツールはトーマスがエース、ベルナルがセカンドエースという体制で挑むことになるのではないかと思います。ざっと出場メンバーを予想してみると、

ゲラント・トーマス(総合エース)
エガン・ベルナル(セカンドエース)
ワウト・プールス(エース山岳アシスト)
ミカル・クウィアトコウスキー(山岳・平坦・ダウンヒルアシスト)
ケニー・エリッソンド(山岳アシスト)
ルーク・ロウ(平坦アシスト、新横風職人)
ヨナタン・カストロビエホ(山を越えられるルーラー)
ジャンニ・モスコン(なんでもできて、色々やっちゃう子)

という感じで、相当手厚い布陣であることには変わりないことがわかりました。

確かにフルームは出れません。けれどもイネオスは強い。このことがせめてもの慰めになればと思い、本記事を締めたいと思います。

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