クリス・フルームが術後初めてコメントを公開!退院まで6週間、全治6ヶ月の診断。

「最初に、事故以来、私の無事を祈ってくれていた全ての人に多大なる感謝の気持ちを伝えたい」と、クリス・フルームはチームのオフィシャルサイトで術後初めてのコメントしました。同時に、病室のベッドの上で、サムズアップする写真も公開されました。

Froome’s thanks for ‘overwhelming support’

ファンへ、チームの医療スタッフ、特にチームドクターのリチャード・アッシャー氏、救急隊員、緊急搬送先のロアンヌ病院のスタッフ、手術を執り行ったサンテティエンヌ大学病院の外科医・看護師の方々、そして最後に妻ミシェルさんと家族に向けて感謝の意を述べています。

「これは大きな失敗でもありますが、私は将来を見据えています。回復には長い道のりがかかりますが、しっかり回復して、全力を尽くしてベストコンディションを取り戻すつもりです」ともコメントしています。海外メディアでは、意識を取り戻すなり、「自転車にはいつ乗れるのか?」と医師に尋ねたとの報道も見受けられました。

しかし、復帰への道のりは決して容易ではないことはわかります。衝撃の走った事故から3日が経過し、徐々にフルームの容態・事故当時の様子も明らかになってきました。

まず、フルームは個人タイムトライアルの試走中、ダウンヒルの最中に鼻をかもうとして、手を離した瞬間、突風が吹いてフルームの自転車の前輪が煽られてバランスを崩しました。そのスピードのまま、沿道の建物の壁に激突したそうです。

時を同じくして、後方でタイムトライアルの試走をしていたダニエル・マーティン(アイルランド、UAE・チームエミレーツ)は、「思わず立ち止まりました。(チームカーにいた)ニール(・ステファンス、UAEのチーム監督)と私は呆然としながら、お互いに顔を合わせて言葉を失いました。震えながら20秒ほど立っていたと思います。正直、彼は死んだかもしれないと思いました。」とコメントしていたように、フルームが落車した瞬間は誰がどう見ても至急を要する事態だったことが伺いしれます。

Dan Martin: I’m still replaying Chris Froome’s Dauphine crash in my head

衝突の衝撃により、フルームは骨折のなかでもより重態な開放骨折(折れた骨が皮膚から飛び出している状態)を患い、大量の出血をしたそうです。失った血液量は2リットル近かったとのことです。そのため、搬送先の病院では6時間に渡る集中治療を受けたといわれています。

最終的にフルームは右大腿骨、右肘、肋骨、胸骨、椎骨と5ヶ所以上の骨折が確認されています。また、脚部の開放骨折の場合、関節・靭帯・健の損傷も見られれば、それだけ回復には時間を要することとなります。入院期間は多く見積もって6週間、骨折等々の完治には6ヶ月かかるとの診断です。

ちなみに、2016年に新城幸也が大腿骨を骨折した時は、開放骨折ではなかったとのことですし、名医の執刀により筋肉へのダメージを最小限にして修復手術を行ったそうです。そのため、わずか2ヶ月程度でトレーニングに復帰して、怪我から3ヶ月後にはツアー・オブ・ジャパンでステージ優勝を飾るほどの驚異的な回復を見せていました。2017年にアレハンドロ・バルベルデがツール・ド・フランスで落車骨折した際の診断結果は「膝蓋骨骨折」でした。こちらも相当な重傷ではありますが、翌年にはトップコンディションを取り戻していました。

幸也もバルベルデも相当な重傷ではありましたが、フルームの怪我は度を越えた重傷だと思います。特に開放骨折は酷い時には患部を切断せねばならないほどの大重傷です。全治6ヶ月という期間からもわかるとおり、すぐに復帰して、以前のようなパフォーマンスを取り戻せるなんて思う方が普通ではないかと思います。それでも、幸也やバルベルデのように重傷から復帰して、トップコンディションを取り戻す可能性も無いわけではないでしょうが。

なので、ここからは個人的な意見・想いですが、フルームに対しては良い意味で期待せずに待ちたいです。下手したら日常生活に支障をきたしかねない怪我なのですから。レースに復帰できただけでも御の字ではないかと思うのです。もし、そうなれば私のような常人の及びもつかない精神力の持ち主なのだと、改めてフルームを尊敬し直すことになるでしょう。

ツール・ド・フランス総合優勝を期待するのは酷ではないかと思ってしまいます。もし目標は困難であればあるほど燃えるタイプであれば、是非ともツール5勝目の期待をかけて応援したいと思いますが、心の内まで推し量ることはできません。無邪気に応援するにはあまりにも重傷ですし、ここからツール優勝したら奇跡だ!と煽るのも無責任です。

とにかく今は安静に、一日も早く回復することを祈っています。

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