大注目!新UCIレース『ツール・ド・とちぎ』の魅力とは?

日本国内にまた新たなUCIレースが誕生します。

ジャパンカップでお馴染みの栃木県を舞台とするステージレース。その名も『ツール・ド・とちぎ』です。UCIの公認を得て、2.2カテゴリーレースとして開催されます。

栃木県の各市町村が一体となって開催するコンセプトと、関東圏で行われる立地の良さから、個人的にとても注目しています。

サイクルモードで主催者の方々から話を聞くことが出来たので、聞いた話を元に『ツール・ド・とちぎ』について、まとめてみました!

ツール・ド・とちぎ開催概要

日程

2017年3月31日から4月2日までの全3日間で行われます。

3月中旬に開催される、UCI2.1カテゴリーのツール・ド・台湾の後であり、海外の選手たちを誘致することも可能な時期となっています。[1] … Continue reading

ステージ構成

全3ステージで、それぞれ完全な平坦ステージはなく、丘陵地帯を走る変化に富んだコースレイアウトとなっています。

第1ステージ 日光だいや川公園〜足利市総合運動公園

第1ステージ コースマップ

日光市~鹿沼市~日光市~鹿沼市~栃木市~佐野市~足利市を、通過する115kmのステージです。

アップダウンの多いレイアウトになっており、KOM(山岳ポイント)が2ヶ所設定されています。

ラスト20km地点では、HS(ホットスポット)が設定されています。これはいわゆるスプリントポイントと一緒で、上位通過者(1〜3位)にはスプリントポイント及びタイムボーナスが与えられます。

このHSでの攻防で集団は活性化して、ラスト10km地点にある標高200m弱の登りではアタック合戦が見られることでしょう。激しいバトルを経て生き残った選手たちによるスプリント勝負を経て、記念すべき『ツール・ド・とちぎ』の総合ジャージに初めて袖を通す選手が決まります。

第2ステージ グリーンパークもてぎ~道の駅那須高原友愛の森

第2ステージ コースマップ

茂木町~那須烏山市~那珂川町~大田原市~那須町~那須塩原市~那須町~那須塩原市~那須町を、通過する102kmのステージです。

63km地点にKOMが設定されています。ダウンヒルを終えると、細かいアップダウンをこなしながら、登り基調のままフィニッシュ地点へと向かいます。

HSも2ヶ所設定されています。

終盤は激しくレースを動かす展開が期待されるでしょう。

第3ステージ 矢板市役所~清原中央公園(宇都宮クリテリウム会場)

第3ステージ コースマップ

矢板市~塩谷町~矢板市~さくら市~那須烏山市~高根沢町~那須烏山市~高根沢町~芳賀町~市貝町~芳賀町~宇都宮市を通過する、103kmのステージです。

スタート直後から、今大会で最も長い登りとなる「栃木県県民の森」へ向かいます。もちろんKOMが設定されています。この登りを終えると、全体的に平坦基調であるため、総合逆転を狙って序盤から積極的に仕掛けるチームがあるかもしれません。

HSは2ヶ所設定されていて、2ヶ所目はフィニッシュ地点に近いラスト10km地点に設定されているため、総合バトルが最も白熱する場所になると思われます。

Jプロツアーでお馴染みの宇都宮クリテリウムのメイン会場である清原中央公園へフィニッシュし、栄えある初代『ツール・ド・とちぎ』チャンピオンが決定します!

特徴

元々の構想が、2年かけて栃木県内の全市町村を通過するという、自治体が全面協力の元、開催されるレースです。

そのため、周回コースが設定されていなく、街から街へと移動するツール・ド・フランスのような『ラインレース』となっています。

『ライントレース』とすることに、主催者は強いこだわりを持っており、国内で開催されるラインレースによるステージレースは、『ツール・ド・北海道』と『ツール・ド・とちぎ』のみと言えましょう。

なぜ『ツール・ド・とちぎ』に注目するのか

日本国内で行われるUCIカテゴリーのレースは、

・ジャパンカップ(1.HC)
・ツアー・オブ・ジャパン(2.1)
・ツール・ド・熊野(2.2)
・ツール・ド・北海道(2.2)
・ツール・ド・おきなわ(1.2)

となっています。UCIポイントが獲得出来るレースとしては、アジア選手権や全日本選手権もありますが、チーム毎に出場するレースとは違うルールなので、ここでは除外します。

ジャパンカップはワンデーレースとしては、アジア最高カテゴリーとなるHCクラスであり、ワールドチームの選手も多く参加し、非常にハイレベルな大会となっています。

『ツアー・オブ・ジャパン』も1クラスのステージレースとして、2016年はワールドチームのランプレ・メリダが参戦し、伊豆ステージでは新城幸也が奇跡の復活勝利をあげ、話題になりました。また、J SPORTS解説でお馴染みの栗村修さんが、大会ディレクターを務めています。

『ツール・ド・熊野』は、全日本選手権直前のレースであり、国内の有力選手が勢揃いするステージレースである。

『ツアー・オブ・ジャパン』も『ツール・ド・熊野』も、コースの大半が周回コースとなっています。

『ツール・ド・北海道』は、9月上旬に行われるレースで、2016年は唯一のプロコンチネンタルチームとしてNIPPOヴィーニファンティーニが参戦しました。

『ツール・ド・おきなわ』は11月に行われるレースで、国内のワンデーレース最長となる210kmを走ります。

ここに、『ツール・ド・とちぎ』が加わるのですが、ラインレースとして開催していくことが、やはり最大の注目ポイントです。

栗村さんも度々仰っていますが、『ツアー・オブ・ジャパン』もツール・ド・フランスのようにラインレースとして開催したい気持ちは山々なのですが、公道を封鎖して行う自転車レースの都合上、自治体や所管警察の協力は不可欠で、それらの調整が非常に困難なことだそうです。

その点、『ツール・ド・とちぎ』は各自治体が全面協力の上、開催するステージレースとして新たな前例をつくることが出来ます。[2]『ツール・ド・北海道』は素晴らしいレースであるが、走行する地域は人口の自治体が中心であり、栃木県とは交通量が違うと思われる。

『ツール・ド・とちぎ』が大成功すれば、将来的に『ツアー・オブ・ジャパン』が沖縄から北海道まで走破するようなラインレースとなる可能性が高まるのではないかと、わたしは思うのです。

日本縦断するようなラインレースを開催するためには、自治体や警察の協力が不可欠ですが、それ以上に『サイクルロードレース文化』が市民の間に根付くことが重要だと思います。

せっかくわが町をレースが通過するにもかかわらず、市民が家の中にいては盛り上がりに欠けるでしょう。

家の外に出て、沿線道路で通過する選手たちを応援する、まさにツール・ド・フランスのようなスタイルが定着するためにも、日本国内で最もサイクルロードレース文化が根付いていると言える宇都宮市を抱える栃木県が舞台となっていることが、わたしがこのレースを注目する最も大きな理由です。

このレースが成功するためには、ただ単に観戦するだけに留まらず、栃木県の名所や名産物をしっかりと堪能することが大事だと思います。

SS 1

『ツール・ド・とちぎ』の実行委員会が配布しているコースマップには、しっかりと各地の観光名所・名産物を紹介してあります。

SS 2

SS 3

ラインレースゆえに、目の前を選手たちが通過する時間は一瞬です。スタートorフィニッシュ地点にしたって、一日中レースのために滞在することは難しいでしょう。栃木県内の観光ありきで、レースを観戦するスタイルが良いのではないでしょうか。

References

References
1 2.2カテゴリーのレースには、ワールドチームは参加不可のため、プロコンチネンタルチームのスケジュールに合わせて開催時期を設定したと思われます。
2 『ツール・ド・北海道』は素晴らしいレースであるが、走行する地域は人口の自治体が中心であり、栃木県とは交通量が違うと思われる。

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