キャノンデール・ドラパック出場選手一覧&レビュー【ツール・ド・フランス2017】

※選手の脚質、役割、レビューを書いています。

アタッカーを多く揃えてきたキャノンデール・ドラパック。
総合エースはアンドリュー・タランスキーが担い、ステージ優勝をピエール・ロランとリゴベルト・ウランが狙う。

キャノンデール・ドラパック、ツール出場メンバー

181,ピエール・ロラン(フランス、[get_age birth=”19861010″]歳)

逃げ:★★★★★
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★★☆☆☆

ロランは長い間苦しんでいた。
2011年、総合10位に入りマイヨブランを獲得。
翌年もステージ優勝をあげ、総合8位だった。
全フランスが新たなフランス人ステージレーサーの誕生に湧き、そして過剰な期待を寄せた。

プレッシャーに潰されたロランは完全に伸び悩む。
そして、フランスチームを離れ、アメリカのキャノンデールへの移籍を決意した。

科学的トレーニングが…、とか揶揄されたが、結果としてロランの移籍は成功した。
今年のジロ第17ステージで勝利したのだ。
ワールドツアーでは5年ぶりのステージ優勝だった。

そこには、かつてのステージレーサーとしての姿はなく、ひたすら攻撃的に走るアタッカーとしてロランに内包されていた”逃げ”の才能を解放させていた。

ツール前哨戦のルート・デュ・スッドのクイーンステージである第3ステージでも勝利した。
逃げ集団からアタックを決めての独走劇だった。

ロランは生まれ変わった。
期待を裏切り続けた過去の姿はなく、いまや最も勝利を期待できるエースとなった。

狙うはステージ優勝のみ。
そして、2011年のマイヨブランとの訣別を。

182,アルベルト・ベッティオール(イタリア、[get_age birth=”19931029″]歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★★☆☆

昨シーズンは、ツール・ド・ポローニュ総合3位、ブルターニュクラシック・ウエストフランス2位、GPケベック4位、GPモントリオール7位と、好成績を残しWTポイントも多く獲得した。
だが、今シーズンは昨年のような活躍はまだ見せていない。

脚質は典型的なパンチャー型で、上りもこなせるしスプリント力も持っている。
ツールでは、先輩アタッカー陣らと共に、攻撃的な走りを見せてほしい。

183,パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、[get_age birth=”19910215″]歳)

逃げ:★★☆☆☆
TT力:★★★☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★★★☆

ベヴィンは大化けする素質を秘めているように思える。
ニュージーランドのコンチネンタルチームであるアヴァンティ・レーシングに所属していた2015年のツール・ド・コリア第4ステージでは、カレブ・ユアンを下して勝利した。
なお、ユアンはコリアでステージ4勝をあげて総合優勝を果たす。
手がつけられないほどの強さを発揮していたユアンに勝ったことは、こうして振り返ってみるとベヴィンの高い素質に気付くべきだったかもしれない。

2016年はニュージーランドTTチャンピオンに輝いている。
そして、今シーズンはツアー・オブ・ノルウェーでは総合6位、ツール・ド・スイスでは第2ステージ2位に入るなどスプリントで上位に絡み、時にはマイケル・マシューズやペーター・サガンより上位でフィニッシュしていた。
リードアウトがほとんどいない状況で、大健闘だった。

そこそこの登坂力も見せ、スイスは総合32位でフィニッシュしている。
まだまだ底が見えないポテンシャルの高さに注目したくなったのだ。

ツールでは、チーム内唯一のスプリンターとして集団スプリントに挑むだろう。

184,ネイサン・ブラウン(アメリカ、[get_age birth=”19910707″]歳)

逃げ:★★☆☆☆
TT力:★★★☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★☆☆☆☆

2011・2013年にU-23アメリカTTチャンピオンとなったことがある。
2014年からガーミン・シャープに移籍して現在に至る。

平坦とある程度の上りがこなせる脚質で、今大会では平坦アシストを務めるものと思われる。

185,サイモン・クラーク(オーストラリア、[get_age birth=”19860718″]歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★☆☆☆

昨シーズン、オリカ・グリーンエッジからキャノンデールへ移籍してきた。
移籍後すぐに、GPインドゥストリア&アルティジャナートで勝利をあげたまでは良かった。

ジロとブエルタの両方に出場するも全く良いところが無かった。

キャノンデール移籍2年目に結果を出す法則が適用されるなら、今年のクラークは一味違うはずだ。
その予兆はドーフィネで感じられた。

第8ステージでは、終盤まで先頭グループで上りをこなし、ステージ12位に入ったのだ。
こんなに上れる選手だっけ?と強く印象に残っている。

ドーフィネで見せた登坂力があれば、ツールでもステージ優勝を狙った走りが出来るだろう。

186,テイラー・フィニー(アメリカ、[get_age birth=”19900627″]歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★★★★☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★★☆☆

グランツールは2013年ジロ・デ・イタリア以来4年ぶりの出場で、ツールは初めてだ。
というのも、2014年アメリカ選手権中に腓骨骨折の重傷を負ってしまい、レース復帰に1年以上かかってしまった。

昨シーズンはアメリカTTチャンピオンに返り咲くなど、一定の成果をあげた。
しかし、慣れ親しんだBMCレーシングを離れる決意をし、今季からキャノンデールに加入。

U-23世界選手権TTチャンピオンのポテンシャルは引き出されるだろうか。
まずは、ツールでは平坦アシスト、スプリントトレインの役割を担うだろう。

187,アンドリュー・タランスキー(アメリカ、[get_age birth=”19881123″]歳)

逃げ:★★☆☆☆
TT力:★★★★☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★★☆☆☆

キャノンデールの総合エースは、タランスキーが担う。
自身にとって今季最大の目標としていたツアー・オブ・カリフォルニアではステージ1勝&総合3位の好成績を残した。

好調のままクリテリウム・デュ・ドーフィネに臨んだかと思いきや、最終第8ステージで20分以上の遅れを喫して総合22位に沈んだ。

この結果をそのまま受け取れば、ツールに向けて不安しかない。
だが、カリフォルニアでピークを持ってきた以上、ドーフィネでも調子を維持していたとは考えにくい。

タランスキーにとってツールはあくまでも第2目標だ。
焦らずマイペースで総合トップ10圏内に入れば、チームとしても上々の結果ではないだろうか。

安定感はチームでも随一のタランスキーは、信じて良いと思う。

188,リゴベルト・ウラン(コロンビア、[get_age birth=”19870126″]歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★★☆☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★★★☆☆

この男もまた、期待に沿える結果が得られていない不遇な選手の1人だろう。
エティックス・クイックステップ時代の2015年に走ったGPケベック以来、勝利から遠ざかっている。

だが、ロランはキャノンデール移籍2年目で結果を出した。
ウランもロランと同様に総合成績を捨て、ステージ優勝狙いに絞っている。
移籍2年目となる今シーズンはロランに続いて結果を出せるだろうか。

189,ディラン・ファンバールレ(オランダ、[get_age birth=”19920521″]歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★★☆☆

今シーズンは、ドワルス・ドール・フラーンデレン8位、E3・ハレルベーケ9位、ロンド・ファン・フラーンデレン4位と石畳系クラシックレースで好成績を残した。
また、ツアー・オブ・ブリテンと相性がよく、2014年総合優勝、2015年総合8位、2016年総合5位という成績を残している。

本格的な山岳コースは厳しいが、中級山岳コースでなら勝機もあるかもしれない。
基本的には平坦アシストとして仕事をこなしつつ、得意なステージでは逃げに乗ってステージ優勝を狙いたいところだ。

総合はタランスキー、ステージ狙いはロランとウランが有力

実は、出場22チーム中、最も選手の平均年齢が低いチームなのだ。
と言っても、平均27歳なので、若手主体と言うほどでもない。

総合上位をタランスキーが狙うが、専門の山岳アシストは連れてきていない。
ステージ優勝を狙うアタッカー陣が豊富で、ロランとウランを筆頭に、ベッティオール、サイモン・クラーク、ベヴィン、ファンバールレらがいる。
フィニーとブラウンは平坦アシストになるだろう。

かなり流動的にツールを戦っていくことだろう。
逃げに乗れなかったアタッカー陣が、タランスキーの山岳アシストを兼務することになる。

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