UAEチームエミレーツ戦力分析!【2017年シーズン】

元々ランプレ・メリダを母体として、中国初のワールドツアーチームとなるはずだったプロジェクトTJスポーツ改め、UAEアブダビ改め、UAEチームエミレーツの戦力分析です。

新たにエミレーツ航空をメインスポンサーに迎え、2017年2月には新ワールドツアーレースであるアブダビツアーも行われます。

UAEチームエミレーツ2017ロースター

ss

マッテオ・ボーノ(イタリア)
ヴァレリオ・コンティ(イタリア)
ルイ・コスタ(ポルトガル)
クリスチャン・デュラセック(クロアチア)
ロベルト・フェラーリ(イタリア)
マルコ・カンプ(スロベニア)
ルイス・メインチェス(南アフリカ)
サッシャ・モードロ(イタリア)
マテイ・モホリッチ(スロベニア)
マヌエーレ・モーリ(イタリア)
プシェメスワフ・ニエメツ(ポーランド)
シモーネ・ペティッリ(イタリア)
ヤン・ポランク(スロベニア)
エドワード・ラヴァシ(イタリア)
オリヴェイロ・トロイア(イタリア)
ディエゴ・ウリッシ(イタリア)
フェドリコ・ズルロ(イタリア)

・新加入選手

ダルウィン・アタプマ(コロンビア)←BMCレーシング
ヴェーガルスターケ・ラエンゲン(ノルウェー)←IAMサイクリング
アンドレア・グアルディーニ(イタリア)←アスタナ
ベン・スウィフト(イギリス)←チームスカイ
マルコ・マルカート(イタリア)←ワンティ・グループゴベール(PCT、ベルギー)
フィリッポ・ガンナ(イタリア)←新人
シモーネ・コンソンニ(イタリア)←新人
ユシフ・モハメド・ミルザ(UAE)←ナスル・ドバイ(CT、UAE)
アナス・エイト・エル・アブディア(モロッコ)←新人

・退団選手

新城幸也(日本)→バーレーン・メリダ
マッティア・カッタネオ(イタリア)→アンドローニ・ジョカットリ(PCT、イタリア)
ダヴィデ・チモライ(イタリア)→FDJ
マリオ・コスタ(ポルトガル)→引退
フェン・チュンカイ(台湾)→バーレーン・メリダ
ツガブ・グルメイ(エチオピア)→バーレーン・メリダ
イリア・コシェボイ(ベラルーシ)→ウィリエール・トリエスティーナ(PCT、イタリア)
ファウスト・マスナダ(イタリア)→アンドローニ・ジョカットリ(PCT、イタリア)
ルカ・ピベルニク(スロベニア)→バーレーン・メリダ
ガン・シュー(中国)→未定

総合エースはメインチェスが務める

南アフリカ人のルイス・メインチェスは、2016年ツール・ド・フランスで総合8位・新人賞2位と、飛躍のシーズンとなりました。続けざまに出場したブエルタ・ア・エスパーニャでは、疲れの影響もあって総合40位でした。

グランツールで総合上位を狙えるような選手は他にいないため、メインチェスが出場するグランツールではエース待遇になるのではないかと思います。

同世代のアダム・イェーツ、サイモン・イェーツが強力なライバルではありますが、ツールの新人賞を十分狙える選手です。目標は大きくツール表彰台&新人賞といきたいところです。

BMCレーシングから獲得したダルウィン・アタプマも、ステージレーサーに成長する余地はあると思います。ブエルタでは、マイヨロホを着用し、4ステージに渡ってリーダージャージを守りました。

22歳のマテイ・モホリッチも、期待がかかります。2013年の世界選手権U-23ロードレースでは、当時18歳のモホリッチが優勝しました。2016年はツアー・オブ・ハイナン総合3位が光りますが、ジロ・デ・イタリア総合98位、ツール・ド・ロマンディ総合62位と上位カテゴリでは苦戦している様子です。

TT力も決して低くない選手なので、大化けする可能性のある若手クライマーに注目です。

クライマーの枚数は少ない布陣

メインチェス、アタプマ、モホリッチ以外では、プシェメスワフ・ニエメツ、ヴァレリオ・コンティが登坂力の高い選手です。

ニエメツは36歳ながら、ツアー・オブ・ターキー第1ステージ優勝&山岳賞、ツアー・オブ・ハイナン総合2位とエース格の成績をあげている頼もしいベテランです。

コンティは、ジロではディエゴ・ウリッシのステージ優勝に貢献する重要なアシストをしたり、ブエルタ第13ステージでは逃げ切りで初のステージ優勝を飾りました。

エドワード・ラヴァシは、2016年ツール・ド・ラブニール総合2位と、将来が楽しみな22歳です。

ルイ・コスタ、ディエゴ・ウリッシも十分すぎる登坂力を持っていますが、この二人はステージ優勝を狙うエースとして出場することが多くなると思われるので、メインチェスたちをアシストする機会は少ないと思います。

ピュアクライマーに近い脚質を持った選手は少ないです。

TTスペシャリストの枚数も少ない

IAMサイクリングから獲得したヴェーガルスターケ・ラエンゲンがTT力高い選手ですが、他に特筆すべき選手はいないように思われます。

これまた新加入のフィリッポ・ガンナは身長193cm・体重76kgの大型ライダーです。世界選手権U-23個人TTでは14位でしたが、将来的にはルーラーやTTスペシャリストとして成長して欲しい選手です。

TTスペシャリストや、ルーラーの枚数は少ないため、積極的に集団をコントロールする力は弱いかもしれません。

TJスポーツ最大の魅力は豊富なアタッカー陣の存在

筆頭はルイ・コスタとディエゴ・ウリッシでしょう。

ルイ・コスタは、2012〜2014年ツール・ド・スイス3連覇するなど、ステージレーサーとして期待されていた選手ですが、2013年のロード世界選手権優勝したあたりからアタッカーとして覚醒したイメージがあります。

2016年のツール・ド・フランスでは、何度も逃げ集団に乗り、終盤にアタックするシーンが見られました。残念ながらツールでは、勝利に繋がりませんでしたが、第19ステージでは敢闘賞を獲得しています。

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでは3位に入る活躍も見せているので、春のクラシックやグランツールでの大きな勝利を狙うことでしょう。

ウリッシは、ジロでステージ2勝をあげる活躍を見せました。ワンデーレースでは、ストラーデ・ビアンケ7位、アムステルゴールドレース7位、フレーシュ・ワロンヌ8位、GPケベック7位、GPモントリオール3位、ジロ・デッレミリア8位、トレ・ヴァッリ・ヴァレシーネ2位、ミラノ〜トリノ5位など安定して一桁順位で完走する高い力を持っています。

ルイ・コスタと同様に、春や秋のクラシック、グランツールでのステージ優勝が重要なミッションとなることでしょう。

ルイ・コスタとウリッシをサポートしつつ、別働隊としてアタックを仕掛けられるメンバーも豊富に揃っています。

ヤン・ポランク、クリスチャン・デュラセック、マヌエーレ・モーリ、ヴァレリオ・コンティ、シモーネ・ペティッリ、マッテオ・ボーノらは、クライマー寄りなパンチャーと言った脚質です。

もちろん、メインチェス、アタプマ、モホリッチもこれらのレースには出場する可能性があります。終盤のパワーの差があるので、ルイ・コスタとウリッシのアシストに回る可能性が高いでしょうが。

ワンティから獲得したマルコ・マルカートも面白い存在です。ルイ・コスタやウリッシたちと違い、春の石畳系のクラシックを得意としています。

フェドリゴ・ズルロとオリヴェイロ・トロイアも、マルカートに近い脚質を持っています。

このようにリエージュ〜バストーニュ〜リエージュやイル・ロンバルディアを代表とするクライマー向きのクラシックレース・ワンデーレース向きの選手が多く在籍しているので、春のクラシックや秋のイタリアのレースを中心に多くの勝利を狙いたいところです。

スプリントはグアルディーニとスウィフトとモードロのトリプルエース体制か

アスタナから獲得したアンドレア・グアルディーニ、チームスカイから獲得したベン・スウィフト、そしてサッシャ・モードロの3名がそれぞれエーススプリンターとなると思います。

グアルディーニはツール・ド・ランカウィに滅法強く、通算22回のステージ優勝をあげています。実にキャリアの半分以上の勝利となります。ワールドツアーレベルでは、2012年ジロと2014年エネコツアーでそれぞれ1勝ずつあげています。

スウィフトはチームスカイではアシストに回ることが多い中で、ワールドツアーカテゴリで通算6勝をあげています。

モードロは2015年ジロであげたステージ2勝が光ります。ツアー・オブ・チンハイレイクでは通算8勝をあげており、ミドルクラスのレースではよく勝っているスプリンターです。

またロベルト・フェラーリはベテランのスプリンターとして上の3名と共にリードアウトなどアシストの役割が与えられることでしょう。

というように、ワールドツアーカテゴリで突出した成績を出しているわけではありませんが、HCクラスや1クラスのレースでは無類の強さを発揮しているスプリンターが揃っています。

アブダビツアーでは、平坦ステージが多い構成となっているので、スプリンターたちは地元アブダビでのステージ優勝を狙っていくことでしょう。

ルイ・コスタとウリッシを中心に、ミドルクラスの選手が揃うチーム

ステージレース:★★★☆☆
ワンデーレース:★★★★☆
ステージ優勝:★★★★☆
スプリント:★★★☆☆

飛び抜けたスター選手は不在ではありますが、ルイ・コスタとウリッシの二人のエースパンチャーに加え、メインチェスが総合リーダーを担い、グアルディーニとスウィフトとモードロがエーススプリンターとなります。

大量の勝利は難しくも、HCクラスや1クラスでの勝利を重ね、ワールドツアーではルイ・コスタとウリッシの上位入賞は安定して期待でき、ステージレースではメインチェスもトップ10は硬いと言える布陣です。

新チームの船出があまりにもドタバタだっただけに、シーズンに入ってからは落ち着いたレース展開を見せてほしいものです。

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