ロットNL・ユンボ戦力分析!【2018年シーズン】

ステフェン・クライスヴァイク、プリモシュ・ログリッチェ、ジョージ・ベネットと3人の総合エースを抱えるロットNL・ユンボ。

エーススプリンターのディラン・フルーネウェーヘンを筆頭に若手主体のチームで飛躍を狙う。

ロットNL・ユンボ2018ロースター

ステフェン・クライスヴァイク(オランダ)
プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)
ジョージ・ベネット(ニュージーランド)
ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)
エンリーコ・バッタリーン(イタリア)
ラルス・ボーム(オランダ)
クーン・ボウマン(オランダ)
スタフ・クレメント(オランダ)
フローリス・デティエ(ベルギー)
ロベルト・ヘーシンク(オランダ)
アムントグレンダール・ヤンセン(ノルウェー)
トム・レーゼル(オランダ)
ベアトヤン・リンデマン(オランダ)
パウル・マルテンス(ドイツ)
ダーン・オリヴィエ(オランダ)
ティモ・ローセン(オランダ)
ブラム・タンキング(オランダ)
アントワン・トルホーク(オランダ)
ヨス・ファンエムデン(オランダ)
ハイス・ヴァンフック(ベルギー)
ロバート・ワーグナー(ドイツ)
マールテン・ワイナンツ(ベルギー)

・新加入選手

ダニー・ファンポッペル(オランダ)←チームスカイ
セップ・クス(アメリカ)←ラリー・サイクリング(CT、アメリカ)
ニールソン・ポーレス(アメリカ)←アクシオン・ハーゲンズ・ベルマン(CT、アメリカ)
パスカル・エーンクホーン(オランダ)←BMCディベロップメントチーム(アマ)

・退団選手

ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)→ロット・ソウダル
ステフェン・ラメルティンク(オランダ)→ヴィタルコンセプト(PCT、フランス)
ファンホセ・ロバト(スペイン)→未定
マールティン・ケイゼル(オランダ)→未定
アレクシー・ヴァーミューレン(アメリカ)→未定
タン・カステリンズ(オランダ)→引退
ユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー)→引退

総合エースは3人を中心に回す

クライスヴァイク、ログリッチェ、ベネットの3人が総合エースを担いうる存在だ。

2016年ジロ・デ・イタリアでは、落車さえなければ総合優勝していたであろうクライスヴァイクが、実績・実力面ともに第1エースを務めるだろう。2017年のジロは体調不良により第20ステージでリタイア。ブエルタ・ア・エスパーニャでは総合9位で完走している。

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コンディション不良により、簡単にタイムを失うことが多々あり、落車でレースを棒に振ることも少なくない。それでも、ハマったときのクライスヴァイクの登坂力は世界トップレベルだといえよう。特に2016年ジロの第15ステージの山岳TTでライバルたちから大きなリードを奪った走りは忘れられない。

2018年はツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャをメインターゲットにしており、ジロには出場しない予定だ。

ログリッチェにも、総合エースとしての期待がかかっている。2017年はボルタ・アオ・アルガルベ(2.HC)で総合優勝、ティレーノ~アドリアティコ総合4位、ブエルタ・アル・パイスバスコ総合5位&ステージ2勝、ツール・ド・ロマンディ総合3位と好成績を連発していた。

初出場となったツールでは、第1ステージの個人TTで落車した影響もあり、序盤から総合成績では遅れをとってしまった。しかし、第17ステージで逃げ切りを決めて、ステージ優勝を飾った。

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ログリッチェの武器はなんといってもTT力の高さにある。先にあげたステージレースでは、個人TTでタイムを稼いで高順位につけていた。その上、ツールで勝利した第17ステージのように超級山岳ガビリエ峠を越えていくような難関山岳ステージでも勝つことができる登坂力を兼ね備えている。

その特徴だ最大限発揮されたレースが、世界選手権の個人TTだ。最後に上り区間が登場するテクニカルなコースレイアウトで、クリストファー・フルームを上回る2位に入った。しかも最後の上り区間は全選手のなかで最も良いタイムを記録している。フルームやトム・デュムランのように、グランツールチャンピオンになり得る素質の持ち主であると個人的には見ている。

元スキージャンパーという異色の経歴であること、プロデビューが2016年と遅咲きの選手であることも興味深い。

2018年はツールに出場予定で、クライスヴァイクと共にダブルエースを務めるか、彼のサポートに回るものと思われる。

ベネットは2017年ツアー・オブ・カリフォルニアでプロ初勝利となる総合優勝を果たした。それまで苦手を思われていた個人TTで、ステージ4位に入る飛躍を見せて掴んだ勝利だった。

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2016年ブエルタで総合10位に入る実力者ではあるが、2017年はツール・ブエルタともに体調不良で途中リタイアとなっている。年齢もナイロ・キンタナやトム・デュムランと同じ27歳であり、今後大化けするポテンシャルを秘めた選手である。

2018年はジロで単独エースを担う見込みで、ブエルタにも出場を予定している。

ベテランのヘーシンクも控えているが、総合ではなくステージ優勝を狙うような走りが中心になるものと思われる。登坂力は高いので、場合によっては総合エースのアシストに回る状況も訪れるだろう。

他に山岳アシストになり得る選手としては、新加入のクスがあげられる。ラリーサイクリングでは、ツアー・オブ・ユタ(2.HC)で総合優勝したロブ・ブリトン、ツアー・オブ・アルバータ(2.1)で総合優勝したエヴァン・ハフマンをアシストし、自身もそれぞれ総合9位・2位で完走している総合力のある選手だ。

もう一人、新加入のポーレスにも期待したい。同じくツアー・オブ・ユタでは総合4位&新人賞を獲得。U-23版ジロ・デ・イタリア第1ステージで逃げ切り勝利を飾り、アメリカ国内ロード選手権のU-23部門で優勝し、エリートでも2位に入った。ツール・ド・ラヴニール(2.Ncup)第9ステージの難関山岳ステージで2位に入っている。というように、独走力に長け、登坂力もあり、ここ一番のスプリント力も兼ね備えている、まさにオールラウンダーな逸材である。

とはいえ、全体的に山岳アシスト不足が否めず、総合エース候補3人がお互いに補い合うような走りが求められそうだ。

春のクラシックではエース不在

北のクラシックでは、ボーム、ファンエムデン、ヴァンフック、ワイナンツ、新加入のネオプロのエーンクホーンらを中心にレースを組み立てることになるだろう。

特にボームはビンクバンクツアーでステージ1勝をあげ、ツアー・オブ・ブリテン(2.HC)では総合優勝を飾っており、アスタナ時代の不遇を乗り越えて復調の気配がある。とはいえ、北のクラシックでは2015年パリ〜ルーベ5位が目立った成績というところで、勝利を期待するのは厳しいかもしれない。

むしろドワルス・ドール・フラーンデレン5位に入ったスプリンターのフルーネウェーヘンの方が期待できるかもしれない。

同様にアルデンヌクラシックも、柱となるべきエース選手は見当たらない。2010年グランプリ・シクリスト・ド・モントリオール優勝、2013年グランプリ・シクリスト・ド・ケベック優勝、イル・ロンバルディアで一桁順位を2回(2009・2016年)経験しているヘーシンクが最右翼ではあるが、アルデンヌでの成績は芳しくない。

こちらも、ジャパンカップで存在感を示したトルホーク、ボウマンら逃げを得意とする選手が先行して上位に食い込むような展開の方が期待できるかもしれない。

特にトルホークは大雨のジャパンカップ・サイクルロードレース(1.HC)で4位に入り、降雨・降雪・低温で大荒れの2016年ツール・ド・スイスで山岳賞を獲得したように、荒れた天気を得意としている。他の選手たちがうんざりするような天気になればなるほど、トルホークの番狂わせの逃げが炸裂するかもしれない。

スプリントと逃げで勝利を狙う布陣

2017年シーズンは8勝をあげたフルーネウェーヘンが引き続きエーススプリンターとして勝利増産が期待される。

下の世代にはフェルナンド・ガビリア、カレブ・ユアンがいて、上の世代にはペテル・サガン、アルノー・デマール、マルセル・キッテルがいて、超強力スプリンターの合間の世代に生まれたフルーネウェーヘンは、どのレースに出ても強力なライバルが立ちはだかることが多い。

それでも、要所要所で勝利を積み上げており、特にツール最終日のシャンゼリゼを勝ったことはキャリア最高の勝利だといえよう。

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さらにチームスカイからファンポッペルを獲得している。ツール・ド・ポローニュ第5ステージではサガンを抑えてステージ優勝を飾っている。エースとしてだけでなく、フルーネウェーヘンの発射台としても活躍が期待される。

他のリードアウトにはバッタリーン、ヤンセン、レーゼル、ワーグナーらが務めるだろう。そして、平坦路を率いるルーラー陣には、クレメント、オリヴィエ、タンキンク、ファンエムデンらが名を連ねる。ファンエムデンはジロ第21ステージでトム・デュムランを上回るタイムを記録してステージ優勝を飾ったTTスペシャリストだ。

そして、このチームのもう一つのオプションは逃げ切りによるステージ優勝狙いだ。

ローセンはツール・ド・フィヨルド(2.1)第2ステージと、タックス・プロ・クラシック(1.1)のどちらも逃げ切りで勝利している。ツール・ド・フィヨルド第5ステージでは集団スプリントでエドヴァルド・ボアッソンハーゲンに次ぐステージ2位になっており、パンチ力もある。

ボウマンは、クリテリウム・デュ・ドーフィネ第3ステージで逃げ切り勝利を飾り、連日逃げに乗って山岳賞も獲得した。ジャパンカップにも参戦し、日本のファンの歓待ぶりに感激した様子で、ヨーロッパで開催された2018年のチームプレゼンでは日本のファンに向けてメッセージを発するシーンも見られた。

ジロで通算2勝を飾っているバッタリーン、前述した悪天候に強いトルホーク、2015年ブエルタ第7ステージの山頂フィニッシュを制したリンデマン、通算8勝のベテランのマルテンスらアタッカー陣は粒揃いだ。

若手主体のメンバー構成で伸びしろに期待か

グランツール:★★★★☆
北のクラシック系:★★☆☆☆
アルデンヌクラシック系:★★★☆☆
スプリント:★★★★☆

個々の選手の能力・実力は高いものの、ずば抜けた実績を持つような選手は不在である。そのため、2017年シーズンはワールドツアーチームランキングで16位と下位に沈んでいる。

しかし、2018年に向けてポイント数を加算できるような選手の獲得はファンポッペルくらいであり、戦力の底上げになっているとは言い難い状況だ。さらに追い打ちをかけるように、ロバト、トルホーク、エーンクホーンの3名はチームキャンプ中に禁止された睡眠剤(ドーピング違反ではない)を使用したことを理由に、ロバトは解雇、トルホークとエーンクホーンは2ヶ月の出場停止処分が決まっている(UCIではなくチーム独自の裁定によるもの)。

一方で2018年シーズンを迎える時点で24歳以下の選手は、9名も在籍しており、若手主体で数年先まで見据えてのチームビルディングをしている最中とも見える。

その若手の中には、既にワールドツアーで結果を出しているボウマン、ファンポッペル、フルーネウェーヘンらも含まれている。そして、27歳のベネット、28歳のログリッチェもまだまだ伸びしろたっぷりであり、30歳のクライスヴァイクが本来の実力を発揮できれば、結果的に大幅戦力アップとなるだろう。

ロットNL・ユンボは3人の総合エースと、24歳以下の若手選手の飛躍に注目していきたい。

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