チーム・サンウェブ戦力分析!【2017年シーズン】

TTスペシャリストのトム・デュムランを擁し、新たにマイケル・マシューズを獲得したチーム・サンウェブの戦力分析です。

総合はワレン・バルギルと、新加入のウィルコ・ケルデルマンが狙います。

サンウェブ・ジャイアント2017ロースター

ss-4

シンドレ・ショースタッドルンケ(ノルウェー)
ソーレンクラフ・アンデルセン(デンマーク)
ニキアス・アルント(ドイツ)
ワレン・バルギル(フランス)
ロイ・カーヴァス(オランダ)
バート・デバッカー(ベルギー)
トム・デュムラン(オランダ)
ヨハネス・フレーリンガー(ドイツ)
サイモン・ゲシュケ(ドイツ)
チャド・ヘイガ(アメリカ)
クリス・ハミルトン(オーストラリア)
サム・オーメン(オランダ)
ゲオルグ・プレイドラー(オーストリア)
ラモン・シンケルダム(オランダ)
トム・シュタムスナイデル(オランダ)
ローレンス・テンダム(オランダ)
アルバート・ティマー(オランダ)
ジーコ・ワイテンス(ベルギー)
マックス・ワルシェイド(ドイツ)

・新加入選手

フィル・バウハウス(ドイツ)←ボーラ・アルゴン18
レナード・ホーフステッド(オランダ)←ラボバンク・ディベロップメントチーム(CT、オランダ)
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ)←ロットNLユンボ
ミケ・テューニッセン(オランダ)←ロットNLユンボ
クリス・ハミルトン(オーストリア)←アヴァンティ・アイソウェイスポーツ(CT、オーストリア)
レナード・ケームナ(ドイツ)←シュテルティング・サービスグループ(CT、ドイツ)
マイケル・マシューズ(オーストラリア)←オリカ・バイクエクスチェンジ

・退団選手

クーン・デコルト(オランダ)→トレック・セガフレード
ジョン・デゲンコルブ(ドイツ)→トレック・セガフレード
カレブ・フェアリー(アメリカ)→不明
ヨヘム・フークストラ(オランダ)→デスティル・ピエルス(CT、オランダ)
ジ・チェン(中国)→引退
カーター・ジョーンズ(アメリカ)→不明
マックス・カンター(ドイツ)→サンウェブ・ジャイアント・ディベロップメントチーム(CT、ドイツ)
フレデリック・ルドヴィクソン(スウェーデン)→未定
トビアス・ルドヴィクソン(スウェーデン)→FDJ
マーティン・タスフェルド(オランダ)→ルームポット・ネーテルランジェロッテリー(PCT、オランダ)
ラース・ファンデルハール(オランダ)→テレネット・フィデア(CT、ベルギー)
トム・フィーラース(オランダ)→引退

総合狙いはバルギルとケルデルマンのコンビネーションで狙う

フランス期待の若手クライマーのワレン・バルギルが2016年まではステージレースのエースを担っていました。

グランツール初出場となった2013年のブエルタ・ア・エスパーニャでは、22歳ながらステージ2勝という華々しいデビューを飾り、2014年ブエルタ総合8位とグランツールレーサーとして大成するのではないかと大いなる期待に満ち溢れていました。

2015年ツール・ド・フランス総合14位、2016年ツール総合23位、2016年ブエルタ途中リタイアと、徐々に成績を下げています。

バルギルを語る上で欠かせないエピソードは2015年ツール第16ステージでの出来事です。総合10位につけていたバルギルは、テクニカルな下り坂でコントロールを失いコースアウトしかけます。それだけなら、ダウンヒルが苦手な人で済む話なのですが、チームスカイのゲラント・トーマスに衝突するかたちとなり、トーマスはフェンスを越えてコース外へと押し出されたあげく、電柱に頭部を激突する大惨事となりました。

当の本人はトーマスがクッション代わりとなったおかげで、スピードを落とすことが出来て、落車を免れてレースに復帰しています。トーマスも身体への異常は無かったようで、観客の力を借りてコース内に戻ると集団から40秒遅れでフィニッシュしました。

一連のバルギルの行動に対して、ライバルレーサーたちからは『下りでリスクを冒す必要がないのに、攻めた選手がいた』と批判を浴びました。この出来事がトラウマになってしまったのか、翌年のツールでも同じような下り坂でバイクコントロールを失うシーンが見られました。完全にダウンヒルイップスになっていると言えましょう。

バルギルはメンタルがやられかけているようにも見えなくないので、バルギルへの負荷を減らすためにも、ロットNLユンボからウィルコ・ケルデルマンを獲得したことは朗報です。

ケルデルマンは2014年ジロ・デ・イタリア総合7位がグランツール最高成績となっています。バルギルと同じく、2015年・2016年のツールに出場するも総合79位・32位と奮いませんでした。

ケルデルマンも自身がエースとして出場した2016年ツールでは、全く見せ場をつくることが出来なかったので、プレッシャーに弱そうな印象があります。

ゆえに、バルギルとケルデルマンの二人のコンビネーションで一緒に総合上位を目指すのであれば、好成績が期待出来るかもしれません。

2015年ブエルタ総合5位のトム・デュムランは、総合は狙わずTTスペシャリストとして、より磨きをかけてくるのではないかと思います。ケルデルマンも加入したため、デュムランはより自由に走れることでしょう。

2016年のチーム・サンウェブの弱点は、UCIポイントを多く稼げず、ワールドツアー全18チーム中17位だったことです。ステージレースでの成績向上はチームにとって重要なミッションです。

バルギルとケルデルマンへの責任は小さくありませんが、二人で分散しながらうまく心を保って好成績を残してほしいものです。

強力な山岳アシストは不在

元々、マルセル・キッテルやジョン・デゲンコルブを中心としたスプリンターチームであったこともあり、ピュアクライマーと呼ばれるような山岳アシスト選手はあまり所属していませんでした。

その中でも最も登れる選手は、ローレンス・テンダムです。2012年ブエルタ総合8位、2014年ツール総合9位と、グランツールの上位に食い込む登坂力を持っています。バルギルとケルデルマンにとって、頼もしい山岳アシストになることでしょう。

サイモン・ゲシュケはクライマーとは呼べませんが、オールラウンドに活躍出来る選手です。2015年ツールでは自身最高の総合38位で感想しています。身長170cmと小柄な体格を活かして身軽に山を登ることが出来ます。個人的には、さいたまクリテリウムで唯一サインをゲット出来た選手でもあるので、とても注目しています。髭も特徴なので、プロトンでも目立つ存在で、中継で見つけやすいはずでしょう。

グランツールへの出場経験が豊富で、登れる選手としては、出場10回のアルバート・ティマー、出場11回のトム・シュタムスナイデル、出場13回のヨハネス・フレーリンガーがいます。しかし、このメンバーに山岳での決定的な仕事を任せるにはやや実力が足りないように思えます。

中堅選手では、ゲオルグ・プレイドラーには期待がかかります。2016年ジロ総合26位と、それなりの登坂力を有しているので、エースたちを守りながら山を越えるような仕事は可能だと思います。

若手選手では、22歳のソーレンクラフ・アンデルセンと21歳のサム・オーメンはクライマーの卵たちです。

2016年シーズンは、多くのワールドツアーレースに出場することが出来て、貴重な経験を積んだことでしょう。まだトップカテゴリーでの実績は皆無に等しいですが、これからの期待したいデンマーク人選手です。

オーメンは2016年8月のツール・ド・ランで総合優勝しました。2位にはバルト・デクレルク、3位にはピエール・ラトゥールと言った若手有望選手たちを抑えての優勝です。将来が楽しみなオランダ人選手です。

山岳アシストの枚数・実力共に劣るため、ステージレースではバルギルとケルデルマンの連携が鍵を握ることになると思います。

TTスペシャリストのデュムランはずば抜けるが、続く存在が不在

リオ五輪銀メダリストのトム・デュムランのTTの力はずば抜けています。グランツールの個人TTステージ、そして何より世界選手権の個人TTでの優勝が、デュムランの最大の目標です。

平坦路でも世界トップレベルのTT力を持っているにもかかわらず、デュムランの登坂力は他のTTスペシャリストたちを遥かに凌駕しています。2016年ツールでは超級山岳アンドラ・アルカリスへフィニッシュする第9ステージで優勝し、山岳TTとなった第18ステージの個人TTでクリス・フルームに次ぐ2位でした。

そのため、デュムランはグランツールではステージ優勝を狙うエース格と言える存在であるため、バルギルやケルデルマンのために牽引する場面は多くはないと思われます。

デュムラン以外の平坦スペシャリストはどうかと言うと、突出した選手は少ないです。デュムラン擁するサンウェブ・ジャイアントでも、2016年の世界選手権チームTTでは7位に終わりました。カタールでは、デュムラン自身が調子を崩していたようにも見えたため、世界選のTTTの結果を見て一概に「TT力が低い」とは言い切れませんが、チーム全体としてTT力が高いとは言えない状況です。

チャド・ヘイガのTT力は高いです。ちなみにヘイガはピアノがプロ級の腕前です。やはり一定のリズムでペダルを踏み続けることも得意なのでしょうか。

新加入のレナード・ケームナもTTスペシャリストの素質を持つ逸材です。20歳ながら、欧州選手権U-23個人TT優勝、世界選手権U-23個人TT4位と、ワールドクラスの活躍を見せています。2017年シーズンから、初めてのワールドチームに所属するので、ワールドツアーレベルの走りに揉まれて、独走力にさらなる磨きがかかることを期待しています。

世界トップレベルのパンチャーであるマシューズが加入

チーム・サンウェブ最大の補強が、マイケル・マシューズの獲得と言えましょう。むしろ、チーム・サンウェブはマシューズのためのチームと言っても過言ではありません。

グランツール通算ステージ6勝をあげていて、まだ26歳です。同年代のピーター・サガンがあまりにもずば抜けていますが、サイクルロードレース界全体を見渡せば、マシューズも十二分に逸材中の逸材です。

2016年ツール第10ステージでは、オリカ・バイクエクスチェンジの巧みなチーム戦術がハマり、見事なステージ優勝をあげました。オリカはチーム力の高いチームであり、マシューズの母国オーストラリアのワールドチームであり、サンウェブ・ジャイアントへの移籍は意外でした。

2019年まで3年契約を結んでおり、パンチャー・スプリンターとして最も脂の乗った時期である20代後半をサンウェブ・ジャイアントで過ごすと決断したことになります。

マシューズの並々ならぬ決意に、ファンだけでなく、チーム・サンウェブの新たなチームメイトたちも心を動かされるに違いありません。

マシューズの第一の目標はミラノ〜サンレモの制覇でしょう。2015年の3位が自己最高です。

ジーコ・ワイテンス、ロイ・カーヴァス、ベルト・デバッカーは、タフなワンデーレースで頼れるアシストになることでしょう。

次世代のスプリンター育成が課題

かつてはキッテルやデゲンコルブで勝利を量産しました。二人のドイツ人のDNAは今なお色濃く残っていて、チーム・サンウェブにはイキのいい次世代のスプリンターがいます。

ニキアス・アルントとマックス・ワルシェイドです。

アルントは2016年ジロ第21ステージで優勝し、続くブエルタでは序盤ステージは不調でしたが尻上がりに調子をあげ、第16ステージ3位、第19ステージ2位、第21ステージ5位という結果でした。もう一皮むければ勝利を量産出来るのではないかと思います。

ワルシェイドは、2016年シーズンの最終レースとなったツアー・オブ・ハイナンで突然の覚醒を果たします。全9ステージ中5ステージで勝利をあげたのです!

6月のドイツ国内ロード選手権では、アンドレ・グライペルにわずかに及ばず2位で、3位に入ったマルセル・キッテルには勝っています。グライペルとキッテルに匹敵するポテンシャルを持っていることは間違いないと思いたくなる、2016年シーズンでした。

エーススプリンターはマシューズが務めるでしょうが、マシューズと共に、アルントとワルシェイドの成長が楽しみです。

リードアウト役には、デゲンコルブの最終発射台を務めていたトム・フィーラース、新加入のフィル・バウハウス、カーヴァス、デバッカーらが務めることと思われます。

フィーラースは膝の怪我を理由に引退を決めました。怪我していたとはいえ、来季に向けてスプリンタートレインの一角として期待していたはずなので、チームにとっては痛手と言えましょう。非常に残念でなりません。

デュムランとマシューズがチームの二枚看板

ステージレース:★★★☆☆
ワンデーレース:★★★★☆
ステージ優勝:★★★★★
スプリント:★★★★☆

トム・デュムランとマイケル・マシューズが、チームのエースでしょう。山岳に強い選手より、平坦に強い選手やスプリント力のある選手が多く在籍していることからも、デュムランとマシューズで勝利を狙う方針だと言えるでしょう。アルントとワルシェイドの成長にも期待がかかります。

2017年は新たにサンウェブをメインスポンサーに据えたこともあって、2016年以上にスポンサー名を露出させたいところです。

だからこそ、わたしはバルギルとケルデルマンの二人に期待したいです。何だかんだでツール・ド・フランスの総合上位は目立つ存在です。総合争いをする集団内にいるだけでも価値がありますし、アタックでレースを動かそうものなら抜群に目立ちます。

何より、クライマーとしてポテンシャルの高いバルギルとケルデルマンの真の力を見たいからです。

ステージレース、ワンデーレース、スプリントと全てに置いて見どころ満載のチーム・サンウェブに注目です。

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