サンウェブアシスト通信Vol.2〜平穏と安息の間の情熱〜

大きな波乱が起きることなく、『サンウェブアシスト通信Vol.2』を書けることに喜びを感じている。

今回は、第12ステージでのサンウェブアシスト陣の様子をお伝えしていきたい。

第12ステージでの仕事ぶり

レース前から、チーム・サンウェブは穏やかだった。

サンウェブアシスト陣の一人である、サイモン・ゲシュケがチームバスから置き去りにされたようで、『誰か、わたしをスタート地点に運んでおくれ』というツイートと共に、全く焦りを感じさせないおどけた表情でヒッチハイクを試みるゲシュケの写真も一緒にアップロードされていた。

これに対して、トム・デュムランは『ワッハッハ!スタート地点で会えるといいな!わらわら笑』みたいな感じで大ウケしていた。

一体なぜゲシュケが置き去りにされたのか、またどうやってスタート地点に移動したのかは謎ではあるが、サンウェブのチーム内の雰囲気が非常に良いことはよく伝わった。
超和やかムードで、昨日とは打って変わって難易度☆1つの第12ステージを迎えたのだった。

レースはあっさりと3名の逃げが形成されたことで、集団スプリント勝負に持ち込みたいスプリンターチームが集団牽引を担ってくれた。
サンウェブに嫌がらせのような攻撃を仕掛けるチームも現れず、非常に平穏な一日となっていた。

来るべき決戦の日に備えて、サンウェブアシスト陣は集団内で力を蓄える一日になるだろうと思われた。

だが、22歳のスプリンター、フィル・バウハウスは違った。

カレブ・ユアン、アンドレ・グライペルがポジション取りに苦労するなかで、誰のアシストも受けずに単独でポジションを上げてスプリントに参加。
なんと、グランツール自己最高順位である4位をもぎ取ったのだ。

バウハウスの将来が楽しみになるのと同時に、体力温存なんて知ったこっちゃねえ!というガッツ溢れる若い走りが良い。
ゲシュケをイジる余裕があるチームであれば、今大会のメンバーで最年少のバウハウスの好走も讃えられ、良い意味でチームメンバーから可愛がられることだろう。

総評

勝つチームは空気が良い。
それは軍隊のように統率されたピリッとした空気感ではなく、明るく朗らかな雰囲気のままレース期間を過ごす方が現代的なように思える。

少なくともウィルコ・ケルデルマンを失った悲しみからは、脱却できているように見えるし、むしろより一層チームメイト同士の絆が深まっている印象さえ受ける。

翌第13ステージは、完全にフラットなコースでデュムラン自身も『楽なステージになるといいね』というニュアンスのコメントをしていた。
というのも、第13ステージは今大会最後のスプリンター向きステージなのだ。

最後にスプリント勝利をあげたいチームが再び、サンウェブに変わって集団牽引を担ってくれることだろう。

来るべき第14ステージからの連続山岳バトルに向けて、英気を養う一日にしてほしいところだ。

Rendez-Vous sur le vélo…

9 COMMENTS

いちごう

なんだか不思議な感覚です。
と言うのは、白地に黒二本線のジャージがスプリントステージでトレインの形成してないからです(笑)

サンウェブは前身のジャイアント時代、もっと遡りアルゴス・シマノ〜スキル・シマノ時代から有力スプリンターを複数擁して平坦ステージでの勝利を狙うチームカラーでプロトンでの地位を築いてきました。

2011年、スキル・シマノに所属していた土井雪広選手。
彼は当時のチームで数少ない「登れる選手」の一人として活躍。山岳の多いステージレースではろくなアシストも無しで独力で戦い2010年ツアーオブターキーで総合6位などの成績を残してます。

が、一方で2011年ヴエルタに出場すると、序盤の平坦ステージは逃げが出来たあとの集団コントロールが主な仕事でしたが、そこそこスプリント力があることから途中から平坦ステージのゴール前5kmを切ってから先頭を「牽かされる」仕事に抜擢。
このとき先頭に出るだけでも大変なハイスピードの集団を全開で索き、死にそうになってるのにそれでも後ろから「ユキ、GO!GO‼︎」と発破をかけられ続け、それが数日続いて山岳ステージを前に、既に「出涸らしになった」という話をしています。

そのくらいスプリントに特化したチームで、ジョン・デゲンコルブ、マルセル・キッテル、ケニーロバート・ファンヒュンメルらの為にトレイン形成をしてるのが、長いこと当たり前だったので、ほぼ同じデザインのジャージが別の仕事をしてるのが不思議な感覚なんです。

実際アシストの面子は平坦が得意な選手が多いように見えますし、第11ステージのように「牽くだけ牽いて千切れて、下りで復帰して、また牽いて。」では残り10日は持ち堪えられないのは明らかです。
今後の山岳ステージでどこまで耐えられるか。。。
この場にケルデルマンと、個人的にはワレン・バーギルが居たらな〜と思ってます。

一方で、ドゥムランが居るからと言って平坦を全く諦めた訳ではないのが、少し嬉しいのもまた事実です。
トレイン無しでのスプリントは相当厳しいですが、スプリント王国だったチームの系譜を継ぐかも知れないバウハウスの孤軍奮闘が結果に繋がって欲しい。そう思わずにはいられません。

返信する
サイバナ管理人

いちごうさん

確かに、前身のチーム時代からずっとスプリンターチームでしたよね。
そんなチームが、総合を狙うなんて考えに至ったのは、それだけデュムランの力が突出していたってことなんだと思います。

逆に、デュムランがいなければ、デゲンコルプを放出することも無かったかもしれません。
少なくともケルデルマンは獲得していなかったでしょう。

一人の突出した才能は、チーム方針すら変えるってことなんでしょうね。

ただ、バウハウスは逸材だと思いました!
これからの成長が楽しみですね。

返信する
匿名

勝つチームは空気が良い、その通りだと思います。
サイバナさんの予想に反して悪いですが、今期のスカイは何かちぐはぐ感が否めない。
アクシデントもいつもより多いと感じています。
ましてやグランツールは長丁場。
普段の常識は全く通じない。
グランツールで勝つのは、最も早い男でもなく、最もクライミングが得意な男でもなく、最もタフな男なのだと思います。
長丁場だから、当然アクシデントはある。
It’s a cycle road race ですね。

返信する
サイバナ管理人

もはや、わたしの予想はボッロボロに外れそうですから…汗

そうでなくても、自由に意見を述べることは、わたしとしても望むところであり、嬉しく思います。
むしろ、色んな意見を聞きたいです。
(無意味な誹謗中傷は論外ですが笑)

なので、お気になさらずコメントいただければ幸いです。

仰るとおり、グランツールではタフで無ければ勝てないと思います。
肉体的にも、精神的にもです。

今大会では、トーマスの精神的タフさは強く感じられたので、グランツール総合優勝の素質は十分あると思いました!
カデル・エヴァンスも34歳で初めて総合優勝したので、31歳のトーマスはまだまだこれからの選手です。
その時に仮にスカイのジャージを着ていなくとも(※今季で契約切れるので移籍の噂あり)、わたしはトーマスという選手をこれからも応援していきたいです。

返信する
匿名

ゲラントーマスは残念ながらリタイアしたそうですね。
個人TTを見ていて、トーマスが怪我にも関わらずキリエンカのタイム(落車を考慮に入れても)をはるかに上回りこいつはタフだなと思いました。
しかし、トーマスに抜かれていた私の度肝をドゥムランはさらに抜いていきました。

Tiz cyclingのアナウンサーと解説はドゥムランの走りはミゲルインデュラインに似ていると言っているのを聞いて、ハッとしました。
確かにあの長い手足で長いクランクをぶん回す漕ぎ方はインデュラインに似ていると思いました。
彼はもしかしたら最もタフな選手になる可能性があると思います。
インデュラインに似てきているのも何か掴んだのかも。

ブロックハウスの登りでキンタナがアタックをかけた地点のパワーウェイトレシオはキンタナとドゥムランで同じだそうです。
これはドゥムランは15%ぐらいの坂ならキンタナからあまり遅れないことを示していると思います。
もっとも、激坂になるにつれてキンタナに有利になるでしょうが。

今年のジロは新しい選手がどんどん出てきた非常に楽しいです。
ガビリアが4勝を挙げるし、ボブユンゲルスはマリアローザをきるし。というかクイックステップばっかりですね。
ガビリアはすごいですね。サガンのライバル出現といってもいいかもしれません。

返信する
サイバナ管理人

デュムランの活躍には、まさに度肝を抜かれますね。
というか、わたしは開幕前にトップ10圏外に予想していたわけで、平身低頭して謝罪しなくてはいけないレベルです苦笑

> ブロックハウスの登りでキンタナがアタックをかけた地点のパワーウェイトレシオはキンタナとドゥムランで同じだそうです。

ペース走行なのに、クライマーのダンシングレベルで走れているってことですよね?
もはや、おそろしい子、デュムラン。

> ガビリアはすごいですね。サガンのライバル出現といってもいいかもしれません。

ガビリアも石畳への適性はありそうですし、またゆくゆくは世界チャンピオンへの道も拓けるのでしょうかね。
サガンクラスの逸材が、こんなにすぐに登場するとは思いませんでした。

返信する
サイクルロードレース初心者

 某動画配信サイトに登録していないため、あきさねさんの記事はとてもありがたいです。
 現時点では、デュムランとサンウェブは狙い通りの展開だと思います。第10ステージで首位に立ち、その差を守るという戦い方がTTスペシャリストのデュムランの勝ちパターンだと考えられます。最悪、第21ステージで逆転可能な差なら多少順位が落ちても大丈夫だと考えられるので、アシスト陣にも多少の気持ちの余裕を持って戦える方が良いような気がします。とはいえ、登坂力最強で、最強のアシスト陣を擁するキンタナの存在は脅威ですし、登坂力に関して言えば、デュムラン以上の力を持つモレマやピノー。さらにダウンヒルでも攻撃できるニバリ。デュムランとサンウェブにとって強力なライバル陣が山岳ステージで襲いかかることでしょう。
 特にキンタナは強敵だと思いますが、デュムランも予想以上の登坂力を見せてますし、山岳もこなせるアシスト陣を揃え、経験豊富な実力差テンダムが最終盤で戦えるアシストとしていることは大きいと思います。2015年のブエルタの第20ステージでアスタナの総攻撃の前に敗れた時とは状況が変わり、本気で総合狙いでジロに挑んでいるデュムランとサンウェブの挑戦を私は応援しています。

返信する
匿名

デュムランはクライマーと言ってもいいでしょう。
フルームに勝ったこともあり、山岳賞を取ったこともあります。
イメージではTTスペシャリストなのでしょうが、フルームのようなクライムもこなせる総合系の選手です。
ピノーよりクライムが劣るということはないと思います。
ピノーはどちらかというとパンチャーのような性質じゃないでしょうか。クライマーというにはいまひとつ物足りない。
キンタナもライバルはデュムランと言っていましたし、デュムランの走りはクライマーのそれだと評しています。
14ステージもキンタナに勝ってしまいました。
ずっとシッティングで登るその姿はフルームのようであり、インデュラインのようでもあります。
ずっとその才能を認められていた男がついに開花したように感じます。
この先、アクシデントでもない限りデュムランが負ける姿は思いつかないほどです。
この走りをツールでもできるなら、ツール優勝さえあるかもしれません。

返信する
サイバナ管理人

サイクルロードレース初心者さん

> 第10ステージで首位に立ち、その差を守るという戦い方がTTスペシャリストのデュムランの勝ちパターンだと考えられます。

と思っていました。
まさか、第14ステージでは自ら攻撃を仕掛けるとは思いもよらず。
山でクライマーを打倒できるTTスペシャリストという恐ろしい脚質の持ち主となりました。

こうなると、逆に2015年ブエルタでの経験が活きてくると思います。
失敗から学び、成功へとつなげようとしているデュムランを、わたしも応援しています。

ただ、キンタナもこれで終わる選手とは思っていません。
モビスターの底力も見せてほしいです。

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)