トレック・セガフレード出場選手一覧&レビュー【ツール・ド・フランス2017】

※選手の脚質、役割、レビューを書いています。

エースのアルベルト・コンタドールは、失われたツール・ド・フランス総合優勝を取り戻さんと過去最高の戦力を整えてきた。
ジョン・デゲンコルプもスプリントステージで勝利を狙う。

トレック・セガフレード、ツール出場メンバー

31,アルベルト・コンタドール(スペイン、[get_age birth=”19821206″]歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★★★★☆
登坂力:★★★★★
スプリント:★★☆☆☆

通算7度のグランツール総合優勝。
ドーピング問題で抹消された成績を含めると9回総合優勝している。

歴史上最もグランツールで総合優勝したのは、エディ・メルクスの11回だ。
コンタドールがいかにずば抜けた実績を出した、偉大なレーサーであることかが伝わるだろうか。

さらに、全く保守的な走りをせず、常にアグレッシブに1秒でも稼ごうとする攻撃的なレーススタイル、ステージ優勝の際にはガッツポーズではなくピストルを撃つポーズ、通称バキューンポーズをすること、例え逆境に追い込まれていたとしても誰もが予想だにしない走りを見せるなど、コンタドールの魅力に取りつかれたファンは数多くいるだろう。

しかし、昨シーズンあたりから、山岳でライバルたちをなぎ倒すような強烈なヒルクライムが鳴りを潜めてしまったように思える。
今シーズンになると、その傾向は顕著に現れ、総合2位のステージレースが4つもある。

ツール前哨戦のクリテリウム・デュ・ドーフィネ第8ステージでは、力なく失速してしまい、総合11位に沈んだ。

コンタドールといえども、[get_age birth=”19821206″]歳という年齢の壁には勝てない。
まだまだ十分に走れるが、総合優勝はもう厳しいだろう。
そのような声が多いのではないかと思う。

かく言う私も、同じようにコンタドール限界説に同意する1人である。

だけれども、分かってはいるが、それでも期待せずにはいられないのが、アルベルト・コンタドールだ。

どうせタレると分かっていても、コンタドールのアタックには心が躍るし、
さすがに逆転できるタイム差であっても、コンタドールなら何か仕掛けてくれるのではないかと期待するし、
どうかもう一度だけ、あの”バキューンポーズ”を見たい、そう思わせる不思議な魅力がコンタドールにはある。

だからといって、コンタドールに期待することは、希望的観測なのだろうか?
私はそうは思わない。

私は『必ずしも強い者が勝つとは限らない』という言葉が好きだ。
この言葉にサイクルロードレースの美しさ・面白さが凝縮されていると思うからだ。

そして、この『必ずしも強い者が勝つとは限らない』という言葉には続きがあると思っている。
『必ずしも強い者が勝つとは限らない。だが勝った者は皆、己が勝利することのみを考えていた。』という言葉が真の意味ではないだろうか。

もしかしたら、コンタドールの身体能力は全盛期に比べて低下しているかもしれない。
しかし、コンタドールの闘志は全く衰えていない。

「出場するレースは必ず勝つ」という、コンタドールの揺るぎない信念があったからこそ、今まで数々のドラマを生み出してきた。
その想いは、今も変わらず胸のうちに秘め続けているだろう。

勝てばドラマ、負けてもドラマ。
サイクルロードレースの魅力を体現し続けた男。

アルベルト・コンタドールという大作ドラマは、まだ最終回を迎えてなんかいない。

32,クーン・デコルト(オランダ、[get_age birth=”19820908″]歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★★★☆

デゲンコルプと共にトレック・セガフレードにやってきた、オランダ人スプリンターだ。
リードアウトの技術・スピードは一級品で、2012年ブエルタではデゲンコルプのステージ5勝をアシストした。

今大会でも、デゲンコルプのリードアウトを務めることになる。
そして、平坦を牽ける選手は貴重なので、デゲンコルプでの勝利が狙えないステージでは、コンタドールのために平坦アシストとして仕事をするだろう。

33,ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、[get_age birth=”19890107″]歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★★★★

2016年初頭、トレーニング中に対向車両と正面衝突する大事故から1年半あまりが経つ。
まだ、デゲンコルプの体調は、事故前のものに戻っていないのかもしれない。

今シーズンの序盤では、ドバイツアーでステージ1勝をあげ、その後のレースでも惜しい走りを見せていた。
しかし、ツアー・オブ・カリフォルニア、ツール・ド・スイスではあまり良い走りが出来ていない。

ライバルスプリンターたちのコンディションが上がってくるにつれ、デゲンコルプのパワーが通用しなくなっているのではないかと思ってしまう。

今大会では、チームがコンタドール総合優勝を最優先としているため、デゲンコルプのためのトレインがほとんど組めないと思われる。
だが、それくらいが逆にちょうどいいのではないかと思う。

ある意味、気楽なポジションで、熾烈なスプリントバトルに参加してみるのも悪くない。
ちょっとした力を出すポイントがズレているだけかもしれないし、ふとしたことで復調のきっかけを掴むような事はよくある。

デゲンコルプは、このまま終わるような選手では絶対ない。
ミラノ〜サンレモとパリ〜ルーベを制し、ブエルタで勝利を連発したあの頃の力を取り戻すために、ツールを走る。

34,ファビオ・フェリーネ(イタリア、[get_age birth=”19900327″]歳)

逃げ:★★★★★
TT力:★★★★☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★★★☆

この選手の特徴は一言では表しきれない。

昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでポイント賞を獲得したが、ステージ優勝は無かった。
集団スプリントステージでは上位に入って、山岳ステージでは逃げに乗って、なんだかんだで上位でフィニッシュ。
ということを繰り返してポイント賞を獲得したのだ。

今シーズンは、ツール・ド・ロマンディのプロローグステージは4.8kmの個人TTだったが優勝、イタリア国内TT選手権は38.8kmの距離、も優勝したジャンニ・モズコンから22秒遅れの2位だった。

短い距離も、長い距離も独走力に長けていて、スプリント力もあり、登坂力もある。
何でも出来るオールラウンダーのような脚質なのだ。
タイプとしては、チームスカイのミカル・クヴィアトコウスキーに近いかもしれない。

山岳の上り口で強烈な牽引をして、集団の人数を絞り込む動きや、前待ちから険しい山岳を越えた後の平坦路でエースをアシストする動きなど、作戦の幅が広がる。
コンタドールの懐刀として、フェリーネの動きに注目だ。

35,ミカエル・ゴグル(オーストリア、[get_age birth=”19931104″]歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★☆☆☆☆

初めてのグランツールとなった昨年のブエルタでは総合68位で完走。
今シーズンはアムステルゴールドレース8位という成績を筆頭に、アルデンヌクラシックは全て完走した。

着実にレベルアップをしながら、ツールではコンタドールの山岳アシストの一員として出場する。
非常に将来が楽しみな逸材である。

36,マルケル・イリサール(スペイン、[get_age birth=”19800205″]歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★☆☆☆

グランツール出場16回のキャリアが物語るように、長丁場のレースでは欠かせない存在がイリサールだ。
脚質はルーラーで、とにかく集団牽引が得意な選手だ。

放っておけばどこまでも走ると言われているほど、自転車で走ることが好きすぎるらしい。
貴重な平坦アシストとして、チーム内で重要な立ち位置となるだろう。

37,バウケ・モレマ(オランダ、[get_age birth=”19861126″]歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★★★☆
登坂力:★★★★★
スプリント:★★☆☆☆

いまだかつて、コンタドールにとってこれほど強力なアシストと共に走るレースがあっただろうか。

モレマの最大の長所は、その登坂力やTT力の高さではなく、与えられた任務を着実に遂行する良い意味での従順さである。
昨年のジャパンカップでは、クリテリウムでは前年度に優勝しているにも関わらず、チームメイトのジャスパー・ストゥイヴェンのために忠実にアシスト任務をこなした。
そして、レースを途中リタイアしてトレックのブースに戻ってきたモレマは、バサバサの髪を整えたり、汗や土埃で汚れた顔を拭いたりせずに、ビンディングシューズを履いたまま、ファンサービスに務めていた。

自分よりも周りを優先する、ナイスガイ。
それが、モレマという男なのだ。

性格的にはエースを張るより、アシストに向いているのではないかと私は常々感じている。

今シーズンは、ブエルタ・サンフアンで総合優勝し、ジロでは総合7位だった。
決して調子は悪くない。
コンタドールのために全身全霊を尽くしてアシストする。

38,ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、[get_age birth=”19881119″]歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★★★☆☆
登坂力:★★★★★
スプリント:★★★☆☆

もう一人、コンタドールを支える強力なクライマーを用意してきた。
解散したIAMサイクリングから、今シーズントレック・セガフレードに加入した。

昨年のツールでは、第15ステージのダウンヒルを攻めて逃げ切り勝利。
ステージ2位に2回入るなど、スーパー敢闘賞候補にノミネートされるほどの活躍を見せていた。

トレック移籍後は、パリ〜ニースで初めてコンタドールと一緒に走った。
山岳でのパンタノの牽引はあまりにも強烈だった。
ライバルチームのアシスト選手を蹴落として、エースを丸裸にするほどの威力があった。

パンタノ砲の凄まじさが、コンタドールにとっては心強い武器となる予定だったが、ツール・ド・スイスではコンディションが悪く第6ステージでリタイアしている。
ツールに向けて心配が残る結果となった。

モレマとパンタノと2枚山岳アシストがいることで、コンタドールの戦略面に幅が広がることだろう。
ツールまでには、パンタノのコンディションが整うと信じるしかない。

39,アイマル・スベルディア(スペイン、[get_age birth=”19770401″]歳)

逃げ:★★☆☆☆
TT力:★☆☆☆☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★☆☆☆☆

ドーピング陽性反応が発覚したアンドレ・カルドソに代わって出場が決まった。
今大会に出場する選手のなかで最も年齢が高く、グランツール出場も29回目となる圧倒的な大ベテランだ。

昨年はツール総合24位、ブエルタ総合19位と、まだまだ高い登坂力を維持できている。

これだけ出場したグランツールで記念の1勝をぜひともあげてほしいところだ。
とはいえ、恐らく本人はステージ優勝に全く興味を示さず、コンタドールのアシストに徹することだろう。

過去最高の戦力に恵まれたコンタドール

山岳アシストはモレマとパンタノ、そしてゴグルとスベルディアも控える。
平坦アシストはイリサールとデコルト、場合によってはデゲンコルプも回るだろうが最低限の枚数は揃った。
そして、平坦も山岳もいけるフェリーネが全局面で有効に働くことが出来る。

かつて、これほど充実した戦力をもって、コンタドールが総合争いに挑めることはあっただろうか。
コンタドールに期待したくなるもう一つの要因だと言えよう。

デゲンコルプもステージ優勝を狙って集団スプリントに挑む。
場合によっては、フェリーネとパンタノでステージ優勝も狙えるだろう。

今シーズンはまだ思ったように勝利を積み重ねていることが出来てないトレック・セガフレードにとって、ツールでは是が非でも結果を残したいところだ。

4 COMMENTS

Aki

こんにちは
これまでTREKを応援してきて、かつてここまでツールに期待した年があったろうか?
と、能天気に盛り上っております(笑)
確かにコンタドールは往年のキレのあるダンシングを今年は見せていません。
アシストであるモレマの今季も、今のところは今一つ、パンタノはパリ~ニースでは見せてくれましたが、それ以降は…
デゲンコルプも、一勝はあるものの表彰台に一歩、二歩届かないレースが続いています。
それでも、ここ数年のTREKの陣容に比べると、グランツール制覇とはならずとも、最後まで楽しめるレースになりそうに思うのです。
それはやはり、どんなレースでも諦めないコンタドールをエースに据えられて、モレマ、パンタノをアシストに出来る陣容は強力に感じるのです。
ティンコフ時代のコンタドールは、最後は孤軍奮闘が目立ちました。最後の勝負どころで孤立して、自爆覚悟のもがきで潰えたり、序盤の位置取りや無理なポジション争いに絡んで落車など…
全盛期の力は明らかに無いようには見えますが、安定と言う面では今年は安定した走りと言えるのではないでしょうか?
近年、グランツールに重きを置けなかったチームゆえ、新たに移籍してきた三人を上手く回す為にはチーム戦略にも迷いや齟齬がおきるのは必然でしょう。
一年目からすべてが上手く行くほど、ロードレースの世界は甘くはない、それは序盤戦のTREKを見ても明らかなのですから…
それでも、あきさねさんの指摘するように絶対に諦めず全力で走る男、コンタドールと、真摯な闘士モレマ、露払い砲炸裂のパンタノ、不屈の男デゲンコルが居る今年のTREKに期待が高まってしまうのです。

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サイバナ管理人

Akiさん

不安要素を指摘すれば、いくらでも出来るかもしれませんが、それでも期待したくなる要素の方が多いって感じがします。

> 全盛期の力は明らかに無いようには見えますが、安定と言う面では今年は安定した走りと言えるのではないでしょうか?

見方を変えれば仰る通りですね!
平均順位2位と考えれば、全然悪くないです。
むしろ素晴らしい!

> 近年、グランツールに重きを置けなかったチームゆえ、新たに移籍してきた三人を上手く回す為にはチーム戦略にも迷いや齟齬がおきるのは必然でしょう

モレマがフォア・ザ・チームの男なので、ダブルエース問題にはなり得ない点は良いのですが、コンタドールとデゲンコルプの両立は無理やり感が否めないですね…。
何かしら、スポンサーの意向なども働いているでしょうから、難しいと思いますが。

コンタドールが表彰台獲得して、デゲンコルブが1勝でもあげれば、万々歳の大成功のツールになるでしょうね。

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Gre

ルーラーとしてマティアス・ブランドレがメンバーに入ると思っていました。
彼はオーストリアのTTでプライドラーにかなり差を付けられていましたし調子が悪かったのでしょうか。
平坦でも山岳でも先頭を引くと思っていただけに残念です。

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サイバナ管理人

Greさん

仮にデゲンコルプが出場しないとなれば、ブランドルや別府史之が入るスペースだったかもしれませんね〜。
調子の良し悪しというよりは、コンタドールの意向が働いているのかな?と推測しています。
(ブランドルやフミよりも、スペイン人のイリサール良いというような)

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