トレック・セガフレード戦力分析!【2018年シーズン】

2016年はファビアン・カンチェラーラ、2017年はアルベルト・コンタドールが引退し、一つの時代に区切りをつけたトレック・セガフレード。次代を担うエースの誕生が待ち望まれている。
実績も抱負なバウケ・モレマが総合系のエースを担う。チームとしてはワンデークラシックに力を入れているようで、エースを担いうる逸材が揃っている。

トレック・セガフレード2018ロースター

バウケ・モレマ(オランダ)
別府史之(日本)
エウジェニオ・アラファーチ(イタリア)
ジュリアン・ベルナール(フランス)
マティアス・ブランドル(オーストリア)
ニコラ・コンチ(イタリア)※トレーニーから昇格
グレゴニー・ダニエル(アメリカ)
クーン・デコルト(オランダ)
ジョン・デゲンコルプ(ドイツ)
ローラン・ディディエ(ルクセンブルク)
ファビオ・フェッリーネ(イタリア)
ミカエル・ゴグル(オーストリア)
ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル)
マルケル・イリサル(スペイン)
ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)
ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア)
マッズ・ペデルセン(デンマーク)
グレゴリー・ラスト(スイス)
キール・レイネン(アメリカ)
ピーター・ステティーナ(アメリカ)
ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)
ボーイ・ファンポッペル(オランダ)

・新加入選手
ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア)←クイックステップ・フロアーズ
スガブ・グルマイ(エチオピア)←バーレーン・メリダ
ライアン・ミューレン(アイルランド)←キャノンデール・ドラパック
トムス・スクインシュ(ラトビア)←キャノンデール・ドラパック
ニクラス・イーグ(デンマーク)←チーム・ヴィルトゥサイクリング(CT、デンマーク)
アレックス・フレーム(ニュージーランド)←JLT・コンドール(CT、イギリス)

・退団選手
アルベルト・コンタドール(スペイン)→引退
ヘスス・エルナンデス(スペイン)→引退
アイマス・スベルディア(スペイン)→引退
エドワード・トゥーンス(ベルギー)→チーム・サンウェブ
マルコ・コールダン(イタリア)→ウィリエール・トリエスティーナ(PCT、イタリア)
マッテオ・モスチェッティ(イタリア)※トレーニー→ポラールテック・コメタ(CT、スペイン)
エイデン・トゥーヴェイ(オーストラリア)※トレーニー→ベネロング・スイスウェルネス・サイクリングチーム(CT、オーストラリア)
アンドレ・カルドソ(ポルトガル)→未定(ドーピング陽性により解雇)

グランツールではモレマが単独エース

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コンタドールの引退により、モレマが単独エースでステージレースを含むグランツールでの総合上位を狙う。

2017年のジロ・デ・イタリアでは総合7位、ツール・ド・フランスではコンタドールのアシストを務めながら総合17位に入り、第15ステージでは待望のステージ優勝を飾っている。

グランツールで表彰台を狙える素質は十分に持ち合わせている。だが、今ひとつ突き抜けられていないのが現状だ。

総合争いになると、上位勢に対して登坂力でやや劣るシーンも見られる。モレマは逃げに乗ることが非常にうまく、高いTT力を活かした独走も得意としている。2015年ジャパンカップ・サイクルロードレース(1.HC)、2016年クラシカ・サンセバスティアンで勝利したように、クライマー向きのグランツールよりもむしろワンデーレースを得意としている節も否めない。

とはいえ、2016年ツール第12ステージのモン・ヴァントゥでは、クリス・フルームとリッチー・ポートのヒルクライムに食らいつくシーンも見られた。やはり相当高いポテンシャルを持っているのだと、どうしても期待したくなる。

本人はツールへのこだわりが強いようなので、2018年はツールでの表彰台が最重要目標になると思われる。

山岳アシスト、平坦アシストともに戦力増強

モレマを支える山岳アシストにはブランビッラ、グルマイの2人の新加入選手が楽しみな存在だ。ブランビッラは2012年ジロ総合13位・2015年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合13位と登坂力は高い。グルマイは2016・2017年の2年間チームメイトだった新城幸也いわく「周りにはあまり知られていないが、めちゃくちゃ上れる」との評価だ。

ここにパンタノ、ステティーナ、ゴグル、フェッリーネといった現有戦力に加え、ツール・ド・ポワトゥ=シャラント(2.1)とツアー・オブ・デンマーク(2.HC)で総合優勝を果たし、2017年はチーム最多の5勝をあげた、成長著しいペデルセンにも期待が持てる。ゲレイロ、ダニエルら若手コンビも伸びしろたっぷりだ。さらに、ツール・ド・ラヴニール(2.Ncup)総合3位の22歳の新星・イーグを獲得し、U23版ジロ・デ・イタリア総合7位のコンチもトレーニーから昇格している。

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パンタノはコンタドールが引退した穴を埋めるべく、2016年ツール・ド・スイス総合4位を獲得したように短いステージレースではエースを担う機会も増えるかもしれない。

2017年シーズンに比べて山岳アシストの戦力は大いに強化されたと見てよいだろう。

平坦アシストには、アイルランド国内ロード&TT王者のミューレンを加えた。まだグランツールへの出場経験はなく、春のクラシックシリーズで石畳のレースを中心に経験を積んでいた。トレックでも、春のクラシックが最大の目標になるだろうが、その後のグランツールでも平坦アシストとして出場が期待される。

現有戦力では、ブランドル、イリサル、ディディエ、ラスト、デコルト、そして別府らルーラー陣は健在で、アラファーチ、ベルナールは平坦だけでなく全局面でアシストが可能だ。

エース格のストゥイヴェンも、真剣にアシストできる選手であるため、トレックのアシスト陣は手厚い印象を受ける。

北のクラシックもアルデンヌも狙える布陣

石畳と激坂が特徴の北のクラシックでは、やはりデゲンコルプがエースを担うだろう。ドバイツアーでステージ1勝をあげ、完全復活を予感させたものの、結局2017年はこの1勝のみ。不発に終わった悔しさを2018年こそ晴らしてほしいし、本当の完全復活を誰もが待ち望んでいる。

パリ〜ルーベで自己最高位4位に入ったストゥイヴェンもそろそろビッグタイトルが欲しいところだ。高いスプリント力を誇る一方で、ビンクバンクツアー総合3位・ジャパンカップ6位とライバル選手を凌駕する登坂力を持ち合わせている点が、ストゥイヴェンの最大の強みである。

小柄ながらも2017年シーズンは石畳への高い適応力を見せたフェッリーネも楽しみだ。上りにも強い選手なので、アルデンヌクラシックでも好成績を狙えるだろうし、アシストとしても適任だ。

さらに、ファビアン・カンチェラーラをクラシックレースで勝たせるためにずっと走っていたラストも健在だ。2017年シーズンはアルデンヌクラシック3連戦に出場していた別府は、「一番好きなレースはパリ〜ルーベ」と語っており、北のクラシックでも走れる選手だ。

アップダウンを多く含むアルデンヌ系のワンデーレースでは、新加入のブランビッラとスクインシュに期待だ。

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特にブランビッラは、アルデンヌクラシックで勝ちたいからこそ、上りに強いパンチャーが薄いトレックに移籍してきたようなものだろう。ステージレースよりもワンデーレースに注力するものと思われる。

ワンデークラシックで成績上位を狙えるエース候補がたくさんいるうえに、アシストの戦力も厚くなっている。

不調にあえいだニッツォーロの復活なるか

エーススプリンターはデゲンコルプとニッツォーロが務めるだろう。デゲンコルプはクラシックだけでなく、ツールなどステージレースでの勝利も大いに期待される。

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一方でニッツォーロは、2017年は怪我に苦しんだ。プロ入り後初めてシーズン未勝利に終わってしまった。シーズン最終戦となったツアー・オブ・広西でもステージ一桁順位に入ることはかなわなかった。

新戦力としては、2クラスのステージレースで5勝をあげたフレームに期待だ。スプリンターとして、発射台だけでなく自らエースを務めるレースも増えることだろう。

現有戦力では、ファンポッペル、レイネン、デコルトもスプリントトレインを組むことができるし、ストゥイヴェンは最高のリードアウト役になるだろう。

現有戦力はやや不安、だが伸びしろはたっぷり

ステージレース:★★★☆☆
ワンデーレース:★★★★☆
ステージ優勝:★★★★☆
スプリント:★★★☆☆

2017年シーズンはチーム全体で18勝をあげた。ワールドチーム全体でみると、下位に位置するものの、ワールドツアーポイントランキングでは5位と上位に位置している。

だが、獲得ポイントの25%を持つコンタドールが引退したことにより、来季は苦戦が予想されるだろう。ブランビッラ一人では、さすがにコンタドールの穴を埋めるのは厳しい。

だが、獲得しようと思えばできたはずのビッグネームの補強はしなかった。これは若手の突き上げに期待していることを意味するだろう。

ポテンシャルを考えると、モレマ、ストゥイヴェン、パンタノ、フェッリーネ、ニッツォーロ、ブランビッラら中堅選手も伸びしろはまだまだあるように思える。

ゲレイロ、ダニエル、ペデルセン、フレーム、イーグら若手の成長も楽しみである以上に、成長分がそのままチームの戦力アップに直結する。

そして、何よりもデゲンコルプの完全復活が待ち望まれる。クラシックやスプリントで勝利を量産できるようになれば、チーム力は盤石のものとなる。

現状は低評価かもしれない。だが、このチームは★それぞれ5つ分ほどのポテンシャルを秘めているともいえよう。

6 COMMENTS

Aki

 こんにちは、ご無沙汰しております。
 サイクルロードレースシーズンも一息ついた感があり、2018年の各チームの陣容がハッキリとしてきましたね。 
 そのトップにトレックが選ばれたのは本当に嬉しい限りです(笑)

 昨年末はコンタドールとデゲンコルプの加入に、表彰台量産の夢を見ましたが、結果的には期待値の半分以下の結果とも言えますが。
 自分的には、ブエルタのコンタドールのステージ優勝ですべて報われた気になったような年でした。  
 しかしながら、春のクラシックに期待されたデゲンコルプは完全に不発に終わり、それは最後まで続いた感じでしたし、ツールに於いても、モレマ、パンタノの最強ダブルアシストがほとんど機能せずに、辛うじてモレマのステージ一勝、そしてここでもデゲンコルプは途中でツールを去るなど、コンタドールが一人疲弊する姿だけが印象に残りました。
 そして、孤軍奮闘のコンタドールが引退を決めた事により、勝ち頭を失ってしまったように見えるトレックセガフレードですが、本当の意味でのチーム作りはむしろ2018年のような気がします。
 昨年のカンチェラーラ、今年のコンタドールと、レジェンドの二人が在籍した間は、当然の事ながらレジェンド中心のレースであり、総合争いが出来るモレマすらコンタドールのアシストに撤している姿に勿体ない気持ちがあったのも事実。
 パンタノにしても、ステージ優勝する力は充分にある選手ですから、来年からがむしろ闘い方に柔軟性が生まれてくるのではないか?
 ストゥイベン、ニッツォーロ、らはまだまだ強くなれる選手だし、そんな意味では来年は更なる変化を期待してしまうのです。
 新戦力、ブランビッラ、エグも本当に楽しみです。
 ブエルタで献身的な働きを見せた、トゥーンスの移籍はとても残念ですが、春のクラシックでのデゲンコルプの復活と、ストゥイベンの快走、ツールでのモレマの総合争いとパンタノの超高速ダウンヒル、ブランビッラの走り…
 2018年はレジェンド無きチームがどんな闘いをするのか、今から本当に楽しみでなりません。

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サイバナ管理人

Akiさん、こちらこそお久しぶりです!

たまたまトレックがトップバッターになりました笑

> 勝ち頭を失ってしまったように見えるトレックセガフレードですが、本当の意味でのチーム作りはむしろ2018年のような気がします。

レギュラーを張ってたベテラン選手の引退・移籍によって、スタメンの座は空いている状況です。
若手・中堅を含めた熾烈なレギュラー争いが、チーム力を高める結果となりそうな予感がします。

とりわけ、パンタノは本当にチャンスですよね。
モレマ1人では全てのステージレース、グランツールを回せないわけで、必然的にパンタノはエース格としての出場が増えそうです。

ここから生え抜きのレジェンドを育成できるかどうか、という点でも注目していきたいシーズンになりそうです。

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カメガネ

いつも拝見しています。面白い記事なので毎度チェックしてます。アカウント無いですがサイバナラジオを聞いています。たくさんの情報や分析も楽しく、このあいだの世界戦の中継も楽しかったです。

私はトレックの自転車乗り(クロスバイクですが。。。)で去年のツールをモンペリエで観戦しました。強風に見舞われた中フルーム、トーマス、サガン、ボドナルが抜け出した映像がゴール前のスクリーンに映し出され周りの人たちはびっくりしてました。レース終了後にチームバスのあたりを徘徊してると目の前で私の好きなトニマルがローラー台に乗ってクールダウン?していたのはとても嬉しかったです。そしてトレックのチームスタッフはポスターを配っていて私もポスターをもらったのがいい思い出です。

脱線しましたが、デゲンコルプ、コンタドール(引退)など高齢の実力者を獲得したのはやはり引退後のことも見据えたマーケティング要因なんですかね?

モレマはとてもいい選手ですが、エースとしてはあまり期待できないのは同感です。トレックの若手の育成などはどうでしょうかね?トレックは総合?ワンデー?山岳?平坦?どういうチーム作りをしているのかがあまり見えてきません。

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サイバナ管理人

カメガネさん

ラジオも聞いてくださっているようで、本当にありがとうございます!

ツールの現地観戦楽しそうですね〜。
わたしも、いつか行ってみたいです。

> デゲンコルプ、コンタドール(引退)など高齢の実力者を獲得したのはやはり引退後のことも見据えたマーケティング要因なんですかね?

間違いなくあると思います。
特にカンチェラーラ、コンタドールがTREKに乗っていることで、TREK車の売上に大きな影響を与えているように思います。

というTREKのマーケティングという視点でいえば、一番目立つツールで勝てる選手とパリ〜ルーベやロンドなどの石畳系のクラシックで勝てる選手が欲しいでしょうね!
前者はTREKでいうと、エモンダとマドンの広告に最適ですし、後者はドマーネの広告に最適です。

「TREK」というチーム名である以上、スポンサーの商品が売れるようなチームづくりをすることは、チームの継続性という観点でも大事なことだと思います。

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はま

あきさねさん!いつもありがとうございます!
個人的に楽しみにしていた戦力分析まってましたよ!
TREKだと、私はどうしてもパンタノ応援したくなっちゃいます!
ブエルタ2017でのアシストとしての仕事っぷりは、どうしても応援したくなっちゃう選手です!
残りのチームの戦力分析も楽しみにしてます!!

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サイバナ管理人

はまさん、こんにちは!

今年も戦力分析のシーズンがやってまいりました!笑

パンタノはもっと飛躍できるはずです!
期待しましょう。

年内には完了するよう、地道にやっていきます〜

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